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2012年2月定例県議会追加代表質問

2012年2月27日 日本共産党 阿部裕美子県議

 日本共産党の阿部裕美子です。
 日本共産党県議団を代表して質問をいたします。
 福島は原発事故によってスリーマイル、チェルノブイリに続いて、世界に知れ渡る名前となりました。原発はいったん事故が起きると重大な被害となることを身をもって体験した私たちは二度とふたたびこのような悲劇を繰り返させないために危険な原発ノーを日本中に、世界中に発信する使命を持ったと思います。原発の再稼働や海外輸出などとんでもありません。私たちは原発に頼らない福島を必ず復興させる。皆で力を合わせて子どもたちの、若者たちの未来を守るその決意を述べまして質問に入ります。

一、平成23年度一般会計補正予算について
 はじめに平成23年度一般会計補正予算について伺います。
 東日本大震災・原発事故の復興に向けて、新たな基金の創設や除染対策基金の積み増しなどで2,369億9千万円、総額2兆4,491億9千1百万円の予算となっています。
 学校給食の安全確保のための機器整備の予算など県民要望に応えたものとして評価できるものです。そこで伺います。
 がれき処理のための基金の造成も行われましたが、がれき処理はなかなか進んでいません。県はその原因と対策をどうお考えでしょうか。伺います。
 また、ふくしまっ子体験活動応援事業として14億8、280万6千円が補正されましたが、県はこの事業をどのように評価し、どのように取り組んでいこうとしているのかを伺います。

二、除染対策について
 次に.除染対策について伺います。
 知事は当初予算発表にあたって「除染なくして、福島の再生はない。最優先に実施しなければならないのが除染だ」と強調されたように、除染は安心して住み続けることができる福島県を取り戻すために、極めて重要な急ぐべき課題です。史上最大の放射能汚染といわれる今まで経験したことのないこの課題に立ち向かう決意と構えが問われる問題であると思います。この除染推進に関してフランス放射線防護学原子力安全研究所のジャック・ルピュサール所長は「原発から半径20キロが立ち入り禁止になっているが意味がない。汚染はもっとバラバラで一つの半径に入るようなものではない。詳細な汚染地図をつくり、閉鎖すべき地域を定めるべきだ。地図がないと除染作業は無秩序になり、効果も落ちる」と指摘しています。
 わが党宮川議員が代表質問で取り上げたように、除染の前提となる、より詳細な汚染地図作成をもっと急ぐことが、今最重要課題であることを再度指摘をしておきたいと思います。
 除染は現実にはなかなか進んでおらず、子どもや妊婦のいる家庭を優先にもっとスピードを上げて取り組んでほしいという要望は切実なものです。除染の障害となっているのは、(1)仮置き場がなかなか決まらない(2)作業員の確保が難しい(3)除染にかかった費用をきちんと保障してもらえるのか市町村は不安を抱えている、(4)その根本的な前提として国が最終処分場を明確にしていないことなどがあげられています。
 県は除染がなかなか進まない理由をどう考え、促進のために何が必要と考えているのか見解を伺います。
 このような中で二本松市では、仮置き場を75か所に増やしています。一つは仮置き場の構造を安全性に最大限配慮したものに統一したこと。二つに仮置き場の借地料を通常の借地料に謝礼分を加算して水田10アール当たり年間5万円、市が負担することを提起し、各行政区での住民説明会を開いて促進の努力をして来ました。
 伊達市では除染にあたる作業員を増やすために市独自の除染作業員認定制度を作り、企業においては認定員が3人以上いれば除染事業認定事業所とするなど地元での雇用促進につなげていこうとの努力が行われています。
 このように、自冶体が専門的アドバイザーを依頼して取り組みが比較的進んでいるとされる二本松市、伊達市、南相馬市などの取り組みを集約して普及させるなど県の役割発揮が必要と思いますがどうお考えでしょうか。
 年間累積線量1ミリシーベルト以上の除染が必要とされる対象住宅は60万戸、生活圏内の農地等は11万9、391ヘクタールと言われますが、3月末までの面的除染の実施見込みについて伺います。
 国は環境省福島環境再生事務所の支所を県内5か所に増やし、県内全域の除染を進める体制を人員200人に増強するとしています。今までの実態は直轄地域の発注のための事務用員とされています。
 今必要なのは国、県、市町村がバラバラに進めているやり方を見直し、除染の全面的な計画とその促進に責任を持って推進する体制をつくることではないでしょうか。科学者などの英知を結集し、放射能測定や除染推進の役割を担う総合的研究機関を県内に整備するよう国に求めるべきと思いますが見解を伺います。
 国のモデル事業としておこなわれている除染作業は原発利益共同体といわれるゼネコンやメーカーに丸投げされています。原発で儲けたゼネコンが事故の後には除染でも儲けるブラックユーモアだといわれています。川内村では村の呼びかけも受けて村内の業者が共同事業体を作り、1167戸の除染を対象に15億円余で受注しています。自冶体が独自の努力をしているもとで、国や県が大手の共同企業体などに丸投げしていることは問題です。
 NPOなども含め、地元業者やJA、シルバーなどあらゆる機関を活用した体制を作り、除染の本格的な推進に向けて、作業員確保のための研修を大規模に実施すべきと思いますが見解を伺います。
 市町村が除染作業員を直接雇用し、計画推進に必要なだけ配置し、一気に除染作業を促進できる体制をとるよう市町村への支援を行い、除染が直接雇用や被災者支援の一環となるように取り組むことが必要と思いますが見解を伺います。
 今急ぐべきは実際に住民が住んでいる地域をスピードを上げて除染すること、市町村任せにせずに国が主体的に関与することを国に求めるべきと思います。見解を伺います。
 自らの判断で除染を行った個人や企業などの除染費用を国が負担する仕組みを今後のものも含めて作るべきと思いますが見解を伺います。

 次に農地の除染について伺います。
 昨年は福島県のコメの安全宣言が行われたあとに汚染米が次々と発見され、消費者の信用を失ってきました。福島県にとって主要な産業である農業再生に向けて農地の除染をどう進めるかは手探りの現状であると思います。果樹の除染については寒い時期に水を使う厳しい作業、慣れない仕事でけが人続出となりましたが、仕事を失った農家のみなさんが「仕事があるだけでもいい」と雇用につながる形で進められています。農地については基準値越えが出たら出荷停止にして賠償対象にしていくという対症療法的なやり方が行われてきました。昨年のこのような対応を改める必要があると思います。
 農地についても除染の基本となる詳細な「汚染マップ」を作るため、田畑一枚ごとの状況把握を急ぐべきと思います。考えを伺います。
 私が住んでいる伊達市、伊達郡は放射能汚染のもとで人が住んでいる最前線の自冶体です。NHKクローズアップ現代でも紹介された特別避難勧奨地点に指定されている小国地区では地域住民のみなさんが100メートルメッシュの汚染地図をつくりました。今、コメの作付についても苦慮しています。作付しなければセイダカアワダチソウの群生地になってしまう。ここに住む価値がなくなってしまう。住むこともできない。作ることもできない。食べることもできない。そうつぶやきながら、できるだけ早く除染を先行してもらって、安心して住める地域にしてほしいと切に願っています。
 農水省は昨年産で500ベクレルを超えるコメが見つかった地区の作付は禁止する方針を示しています。農家からはコメ作りをやめてしまうと水田は荒廃し、簡単に回復はできない、米を作りたいとの声が上がっています。
 米の作付を認め、出荷制限になったコメはすべて買い上げることを国に求めるべきと思いますが見解を伺います。
 県土の70%を占める森林の除染についてはあまりにも広大でどう進めればいいのか手つかずの状況にあります。しかし、放射能汚染も高いといわれる森林で働いている若い労働者もおります。
 森林内で作業している労働者に線量計を持たせる必要があると思いますが見解を伺います。

 子どもの成長、発達にとっても除染は重要な課題となっています。
 ふくしまの子どもたちは外で元気に遊べない、手足を思いっきり動かせない、日光に当たれない、この環境状況が子どもたちの脳の発達や成長に大きな影響を及ぼすことが心配されます。0歳から幼児期の一年は発達・成長にとっても大事な時期です。このような子どもたちの置かれている状況を県はどう認識しているのか伺います。
 放射能汚染のもとで子どもたちの発育の変化や体力などについて把握する必要があると思います。見解を伺います。
 一日も早く、子どもたちが外で元気に遊べる環境を取り戻すために早急に県土の除染を進めるべきと思いますが考えを伺います。
 校庭だけではなく施設全体の除染を急ぐべきです。どうでしょうか。
 幼稚園、保育園等の砂場の入れ替え、遊具の除染や買い替えなどの対策を進め、外で遊べる環境を早く作るべきと思います。見解を伺います。
 日本一安心して子どもを育てられる環境づくりを進めるために、子育て支援推進本部の機能を十分に発揮できるように恒常的な取り組みを進めるべきと思いますが見解を伺います。
 除染問題について指摘をしておかなければならない問題は最大の加害者である東京電力の姿がまったく見えないことです。東京電力は昨年の二本松のゴルフ場が汚染除去を求めて仮処分申請を行った答弁書で「放射性物質は無主物」と述べて世間をあきれさせました。「飛び散った放射性物質は誰のものでもない。他人の土地にくっついたものだから自分たちのものではない」と言ってはばからないのであります。これだけ福島県民が頭を悩ませている原因を作った当事者である東電が除染に全く関与しなくてもよいとはだれも思わないでしょう。除染費用などを東電に賠償請求し、それの全額を支払わせるのは当然であります。いくらコストがかかっても電力会社が絶対に損をしない総括原価方式にメスを入れないで電気料金値上げなどとんでもありません。

三、避難者支援について
 次に避難者支援について伺います・
 県民16万人が故郷を離れて県内、県外に避難生活を余儀なくされ、間もなく1年を迎えようとしています。この先、故郷へ戻ることができるのか、戻れないのか、いつ戻れるのか、この先の暮らしはどうすればいいのか先行きが見えず、不安は深まるばかりです。県は警戒区域などに指定された13市町村の約21万人を対象に心の健康調査を始め、睡眠や飲酒などの生活状況も調べるとのことですが長期に及ぶ避難生活は生きがいの喪失と精神的不安の増加と心と体の負担が大きいことが懸念されます。心のケアなどのきめ細かな対応が必要とされています。
 福島県民は放射能被曝、汚染という苦難を背負わされた上に、避難区域を原発事故から20km、30kmという線引きをされました。特定避難勧奨地点の指定については同じ集落、同じ空気を吸って生きているのに、お隣同士で指定された所と指定からはずされた所が生まれています。それぞれ、支援について雲泥の差が生じています。今までのように野菜もつくれない、野菜も水も買わなければならず、出費が加算でいるのに指定にならなければ何の援助もありません。私は差別がいかに人を深く傷つけるか、今まで築き上げてきた地域のきずなやコミニテイーを壊してしまうか見聞きしてきました。原発事故に直面した福島県民がさらなる差別に苦しめられることがないように、皆で力を合わせて復興に立ち向かうことができるように県民の思いに寄り添ったあたたかい支援が必要だと思います。
 特定避難勧奨地点の指定をきめる放射線量測定にあたっては玄関先と庭先の2か所のみの測定ですまされています。車庫や物置、作業場は4や5マイクロシーベルトもあり、一日で最も長く過ごす作業場や畑は5から7と放射線量が高いにもかかわらず、玄関先の数値で指定から外されています。そこで伺います。
 特定避難勧奨地点指定によって、集落のコミ二テイーが壊されている、このような状況を県はどう考えているのか伺います。
 特定避難勧奨地点の指定については市町村任せではなく、市町村と協議しながら国に対して面的指定を要望すべきと思いますが見解を伺います。
 当面、特定避難勧奨地点に指定された集落に住みながら、指定から外された世帯については市町村税などの税の減免とと医療費の免除を行うよう市町村に働きかけるべきと思います。県の考えを伺います。

 仮設住宅では厳冬の中、水道管の凍結、破裂が相次ぐなど防寒対策が問われています。先日も、一人暮らしのおとしよりがインフルエンザにかかり、ヘルパーさんが来てくれなければ命が危なかったということがありました。
 高齢者の孤独死を防ぐために緊急通報システムによる対応が必要と思いますがどうでしょうか。
 仮設住宅の風呂の追い炊きができない問題について、何らかの対策を行うことをもとめますがどうでしょうか。
 政府の審査会は一人8万円、子どもと妊産婦に40万円の精神的慰謝料を含む賠償を県内23市町村に行うとの線引きを行いました。何を持って線引きを行うのか納得できないものです。県民の批判の声が大きく上がっています。
 すべての県民を対象にするよう国に求めるべきと思いますが、県はどのように考えているのか伺います。

 次に県外・県内避難者への支援について伺います。
避難をされている多くの方が流浪の民のように避難場所を何度か転々としています。その避難生活で元気だったお年寄りが亡くなってしまったり、認知症が進んでしまったり、つらい思いを抱えて耐えています。このような中で少しでも前向きに生きることができるような環境整備が切実です。
 今度の東日本大震災・原発事故における福島県の災害関連死についてどう把握されているのか伺います。
 低線量被ばくという未経験の放射能汚染のもとで子どもたちの命と健康を守りたい。その一心で県外避難を選択した方たちも少なくありません。故郷にとどまる道を選ぶか、避難の道を選ぶか、どちらを選ぶことも厳しい選択です。選択の自由、避難の権利を保障すべき問題であると思います。そしてどこにいても福島県の子どもたちは福島県の子ども達、そのかけがいのない命と健康を守らなければなりません。
 わが党県議団は山形市と埼玉県加須市に出かけて、県外避難の方々の意見を聞いてきました。自主避難の世帯では二重生活の負担に耐えられない、お金が続かないと、悲鳴が上がっています。
 政府の原子力損害賠償紛争解決センターは自主避難者に対しても交通費などの実費と慰謝料の合計額を賠償額とするよう東電に求めたことを明らかにしました。しかし、まったくないよりはあればよいというもので実態にはそぐわないものです。
 自主避難に係る経費の全額補償を政府・東電に求めるべきと思いますが見解を伺います。

 避難をされている方々の住居支援について伺います。借り上げ住宅について、民間借り上げ住宅について、2年の入居期間を延長すべきと思いますがどうでしょうか。
 県外の民間借り上げ住宅について、家賃補助をさかのぼって支給するよう国に働きかけるべきと思いますがどうでしょうか。
 県内での自主避難者を借り上げ住宅の対象とすべきと思いますがどうでしょうか。
 県外から県外への住み替えを認めるべきと思いますが県の考えを伺います。
 県外避難者支援について、仕事の都合で父親が県内に残り、母子が県外避難をしている家庭も少なくありません。高速道路が有料になれば、週末に会いに行くことも大変になります。
 高速道路の無料化を継続するよう、国へ求めるべきと思いますが考えを伺います。
 県外に避難している子供たちにも差別なく成長の場を保証する権利として、保育や幼稚園教育を受けることができるように対応すべきと思いますが県の考えを伺います。
 県外避難者の子どもの医療費について医療機関での窓口負担にならないよう対応すべきと思いますが見解を伺います。
 孤立しがちな県外に避難している人々がつながっていくために、支え合えるネットワークを作るための支援を行うこと。県はどのように取り組んでいくのか伺います。

四、障がい者の支援について
 次に障がい者の支援について伺います。
 東日本大震災における主要被災地域の28市町村のNHK調査によると障がい者の犠牲者が一般の市民の方の2倍という「障がいがあるゆえの犠牲」が明らかになっています。政策面での備えがあればこの数値には至らなかったはずであり、「障がいがあるゆえの犠牲」をなくしていくために今回の体験を教訓とすることが亡くなられた方々の思いにこたえる道であると思います。
 今度の大震災は大規模災害における応急救助のあり方が問われました。ある重度障がいの方は家が半壊し、避難所に避難し、毛布一枚と、おにぎりとカップラーメンを渡されたそうです。一般の方のように毛布を敷いて床に寝ることもできず、流動食のような食事をしているその障がい者はおにぎりもカップラーメンも食べることができなかったそうです。介護の必要な高齢者や障がい者も避難できるような所、「福祉避難所」があればと切実に思ったそうです。福島県は2010年、朝日新聞で福祉避難所が37か所指定されている先進県だと紹介されたそうです。しかし、37か所の指定があるにもかかわらず、今回の震災で開所された所はどこもなかったのです。
 県はこの現状をどうとらえていますか、今後どのように取り組もうとしているのか伺います。
 ある聴覚障がい者は津波から助かったものの、原発事故があったこともわからず、なぜ周りの人たちが逃げていくのかもわからないままに原発事故の中においてきぼりにされてしまいました。後になって原発事故が起こったことがわかりました。いざという時に適切な情報伝達があれば、一般の人たちと同じように避難することができたと思います。今度の大震災によって、改めて聴覚障がい者情報センターの必要性が浮き彫りになったと思います。聴覚情報センターについては県議会としても建設推進の請願を採択し、建設に着手することが待ち望まれていたものです。
 聴覚障がい者情報センターの建設を進めるべきと思いますが県の考えを伺います。
さまざまな体験を今後に生かすためにも、あの大震災の時に障がいのある方たちがどのような事態に遭遇したのか、具体的な体験を書き残す必要があるのではないでしょうか。
 県として聞き取りなども含めて、障がい者から見た東日本大震災・原発事故の記録集をつくってはどうでしょうか。見解を伺います。
 重い障がいを持っている人たちに必要不可欠の生きるための介助や支援について応益負担として利用料を取るとした障害者自立支援法は、障がい者が人間らしく生きる権利を踏みにじるものとして、障がい者、家族はもとより、国民の大きな怒りをかいました。憲法違反との訴訟が起き、政府は2010年1月に訴訟団との間で障害者自立支援法の廃止を明記した合意文書に調印を行いました。そして、障害者制度改革推進本部のもとで当事者も参加して検討が行われ、新しい法律制定に向け骨格提言を行いました。この間のこのような取り組みを経て、障がい者・家族に過酷な負担と苦しみを押し付けてきた障害者自立支援法を一刻も早く廃止し、障がい者も論議に加わって準備されてきた福祉総合法の成立が待たれています。民主党の公約でもありました。
 しかし、政府が2月7日に発表した自立支援法の改正案は福祉サービスの原則無料化が盛り込まれていない、障がい者程度区分の見直しを5年後に伸ばすなど今までの骨格提言と全く異なるものとなっています。国として公的な約束を破ることは許されないことであります。怒りの声が上がっています。
 県は障害者自立支援法の改正案についてどう考えるか見解を伺います。

答弁

一、平成23年度一般会計補正予算について
生活環境部長

 がれき処理につきましては、仮置場搬入済量173万トン程度のうち、焼却など中間処理され又は最終処分されたものは、放射性物質による汚染の影響から、50万トン程度にとどまっております。
 県といたしましては、国・市町村等と連携し、処理の安全性に関する住民への説明、国代行制度による仮設処理施設の設置に向けた調整、コンクリートがらの再生利用の促進などに引き続き取り組んでまいります。

教育長
 ふくしまっ子体験活動応援事業につきましては、昨年7月の事業開始以来、昨年7月の事業開始以来、数多くの子どもたちが利用しているところであり、豊かな自然の中でさまざまな体験活動が実施され、心身ともにリフレッシュが図られたものと認識しております。
 来年度につきましても、今年度の実績を踏まえ、子どもたちが伸び伸びと活動できるよう引き続き支援してまいる考えであります。

二、除染対策について
生活環境部長

 除染が進まない理由につきましては、除染の技術手法が確立していないこと、住民の放射線に対する不安が根強いこと、除染業務に従事する事業者の育成が追いつかないことなどが原因と考えております。
 このため、県といたしましては、除染技術実証事業の実施、仮置場の安全性に関する地域対話集会の開催支援、除染業務講習会の拡充などにより幅広く除染推進体制の整備に取り組んでまいります。
 次に、除染の先進的な取り組みにつきましては、除染情報プラザにおいて、除染対象ごとの効果的な除染技術、住民理解を促進するためのリスクコミュニケーション手法、ボランティアの活用方法などに関する情報を集約するとともに、これらを、プラザのホームページを活用した発信、除染業務講習会や、安全・安心フォーラムにおける紹介等により普及させてまいります。
 次に、面的除染の実施見込みにつきましては、既に、除染対策事業交付金の交付申請を行った12市町村を合計すると住宅5641戸、公共施設264ヶ所、樹園地や田畑などの農地が5803ヘクタールとなっております。
 次に、総合的研究拠点につきましては、放射性物質により汚染された環境を回復するのみならず、県民が将来にわたり安心して暮らせる美しい環境を創造するために必要な機能を有する拠点の整備に向けて取り組んでいるところであります。
 将来的には、国内外の研究機関の集積により、連携を図り、世界の英知を結集した県土の環境回復・創造をめざしてまいる考えであります。
 次に、研修につきましては、新年度には、引き続き県内各地で作業員・現場監督者・施工管理者を対象とする講習会を開催し、それぞれ、7500人、1500人、1000人をめざして育成してまいります。
 次に、市町村に対する支援につきましては、除染作業員を臨時的に雇用する場合に必要な経費に対して、除染対策事業交付金を交付するほか、除染情報プラザを活用した適時適切な専門家派遣や、除染技術に関するさまざまな情報等の提供に努めてまいります。
 次に、国の主体的関与につきましては、今年1月に環境相福島環境再生事務所が開設されたことに伴い、除染特別地域において国が直接行う除染の執行体制に加え、除染計画に基づき市町村が行う除染の支援体制も強化されたことから、市町村の意向を踏まえ、一層主体的に取り組むよう求めてまいります。
 次に、個人や企業の除染費用につきましては、現在、国において費用負担や支払手続などのあり方について検討されているところであり、引き続き、迅速かつ適切に支払が行われる仕組みを早急に整備するよう求めてまいります。

農林水産部長
 農地の汚染状況の把握につきましては、今年度中に国が作成する放射性物質濃度分布図を活用するほか、現在、玄米の放射性セシウム濃度が高かった農家の土壌調査を実施しているところであり、今後は、市町村やJAなどの独自調査や健で開発した簡易測定法を活用しながら、汚染状況のより詳細な把握に努めてまいる考えであります。
 次に、23年産米で暫定規制値を超えた地域での24年産稲の作付につきましては、国から作付制限を行う考えが示されており、県といたしましては、早期の作付再開に向けた水田の除染や保全管理、試験圃による実証などの取り組みへの支援に全力を尽くしてまいる考えであります。
 また、作付制限に伴う損害については、賠償の対象とされております。
 次に、森林内作業労働者に線量計を持たせることにつきましては、森林内での作業に対する不安を解消し適切な健康管理にもつながることから、新年度において、林業就業者を雇用する県内森林組合や林業事業体への個人線量計の導入を支援してまいる考えであります。

子育て支援担当理事
 子どもたちが置かれている状況につきましては、放射線による健康不安からストレスの増加や運動不足が懸念されるなど、安心できる子育て環境の整備が極めて重要であると考えております。
 次に、原発事故後の乳幼児の素因心の発育状況につきましては、妊産婦等の訪問支援の中で、乳幼児の状況を把握するとともに、市町村の乳幼児健康診査等において、県で作成した問診票を活用し、発育や健康状態の把握に努めております。
 今後とも、母子健康事業における市町村との連携をより一層深めながら、乳幼児の発育状況の把握と健康支援に取り組んでまいる考えであります。

教育長
 児童生徒の体力などの把握につきましては、来年度、国及び県が体力・運動能力調査や学校保険統計調査を実施する予定であり、それらの調査結果を基に、児童生徒の状況を把握してまいる考えであります。

生活環境部長
 県土の除染につきましては、放射性物質汚染対策特別措置法の基本方針に基づき、とりわけ放射線の影響を受けやすい子どもたちの生活空間を優先的に除染することにより、平成25年8月末までに追加被ばく線量の約60%の削減を目指すこととされており、引き続き、国、市町村と連携して計画に基づく面的除染を着実に進めてまいります。

教育長
 公立小中学校の除染につきましては、市町村が、国や県の補助事業により校庭の表土改善を実施したほか、高圧洗浄機による校舎の洗浄を行うなどして施設全体の除染に取り組んできたところであります。

総務部長
 私立小中学校の除染につきましては、学校施設の放射線量の低減を図るため、校庭等の表土改善および校舎等の施設全体を除染するための高圧洗浄機の整備に対する助成を行ってきたところであります。

教育長
 公立幼稚園の除染につきましては、市町村が、国や県の補助事業により、園庭、砂場の表土改善を実施したほか、高圧洗浄機による園舎、遊具等の洗浄を行うなどして除染に取り組んできたところであります。

総務部長
 私立幼稚園の環境整備につきましては、幼稚園施設の放射線量の低減を図るため、砂場の入れ替えも対象とした園庭の表土改善や、園舎や遊具の除染を行うための高圧洗浄機の整備に対する助成を行い、外で遊べる環境づくりを支援してきたところであります。

子育て支援担当理事
 保育所における外で遊べる環境づくりにつきましては、園庭の表土改善に伴う砂場の入れ替えや、園舎や遊具の除染を行うための高圧洗浄機の整備などに対して支援してきたところであります。

知事
 子育て支援の推進体制についてであります。
 福島の将来を担う子どもたちが、心身ともに健康ですくすくと育つことができる社会を築いていくことが重要であることから、子育て支援施策を総合的に推進するため、今年度、私が本部長となって、「子育て支援推進本部」を設置いたしました。
 この本部の下、「地域の寺子屋推進事業」など地域ぐるみの子育て支援の推進や各種相談体制の充実・強化などに取り組んでおります。
 さらに、「ふくしま」の子どもたちを守る「緊急プロジェクト」を各部局が連携し、全庁一丸となって実施しているところであります。
 今後とも、「子育て支援推進本部」において復興計画に位置付けた子育て支援施策の進行管理を適切に行いながら、日本一安心して子どもを生み、育てやすい環境の整備に取り組んでまいりたいと考えております。

三、避難者支援について
生活環境部長

 特定避難勧奨地点の指定のあり方につきましては、地域の放射線量の状況、世帯ごとの生活形態や家族構成などの地域の実情を総合的に勘案し、国が地元市町村と協議して、設定するものと認識しております。
 次に、特定避難勧奨地点につきましては、世帯ごとの生活実態などの地域の実情をきめ細かく把握し、地元住民の十分な理解を得て設定するよう、引き続き、市町村と連携して、国に求めてまいります。

総務部長
 市町村税の減免につきましては、課税権を有する市町村が被災の状況等を踏まえて条例を定め、市町村長の判断により行うものであります。
 県といたしましては、引き続き税の取り扱いにかかる必要な情報の提供や助言等に努めてまいる考えであります。

保健福祉部長
 特定避難勧奨地点に指定されなかった世帯の医療費の免除につきましては、保険者である市町村等の判断により行うものであり、県といたしましては、保険者の意向を踏まえて、対応してまいりたいと考えております。
 次に、緊急通報システムにつきましては、不測の事態への迅速な対応を可能とし、高齢者の孤独死等の防止にも有効であることから、仮設住宅等に緊急通報システムを設置する市町村に対して助成を行っているところであり、被災高齢者に安心して日常生活を送っていただけるよう、今後とも積極的に支援してまいる考えであります。

土木部長
 仮設住宅の風呂の追い焚きにつきましては、これまでも、その整備について災害救助法の対象となるよう、国に要望してきたところですが、現段階では、被災3県とも認められていないため、引き続き、強く呼びかけていく考えであります。

原子力損害対策担当理事
 自主避難者等への賠償につきましては、「中間指針追補」において県南等の3地域が対象外にされましたが、原子力発電所事故による被害は、県内あまねく生じていることから、引き続き、市町村、関係団体と一致団結し、全ての県民を対象に確実に賠償がなされるよう、国、東京電力に対し強く働きかけてまいります。

生活環境部長
 災害関連死につきましては、県内市町村で設置されている災害弔慰金等の支給に係る審査会等からの報告によれば、平成24年2月21日現在、639件となっております。

原子力損害対策担当理事
 自主避難に係る経費につきましては、これまで、国東京電力に対する要望、要求活動等を通し、十分な賠償を行うよう求めてまいりました。
 今後も、様々な機会において自主避難者等の実情を訴えながら、原子力損害賠償紛争解決センターを活用した解決への支援を含め、全ての損害が確実かつ迅速に賠償されるよう取り組んでまいります。

生活環境部長
 民間借り上げ住宅の入居期間につきましては、災害救助法に基づき、契約日から2年間とされているところですが、本県の実情を踏まえ、期間の延長を国に要望しているところです。
 次に、県外での遡及措置につきましては、災害救助法の取り扱いについて国と協議を重ねてきた中で、昨年9月以降、避難指示区域からの避難者の家賃等が原子力損害賠償の対象経費とされたことに伴い、東京電力が負担することとなったところであります。
 なお、その他の避難者の遡及措置については、今後の原子力損害賠償制度の動向を見極める必要があると考えております。

土木部長
 県内の借り上げ住宅につきましては、被災時に県内に居住していた自主避難者を含む全ての世帯を対象としております。
 しかしながら、民間賃貸住宅の戸数に限りがあるため、住宅の全壊や原発事故による被災世帯を優先的に取り扱っている現状にあります。

生活環境部長
 借り上げ住宅の住み替えにつきましては、遠方から地元に戻る場合を除き、災害救助法上認められていないことから、困難であると考えております。
 次に、高速道路無料化につきましては、県外避難者やその家族の移動などの負担軽減に大きく寄与してきたものであることから、4月以降も継続するよう国に強く要望してまいりたいと考えております。

子育て支援担当理事
 県外に避難している子どもたちの保育につきましては、原発避難者特例法の対象者に関しては、避難先市町村により保育が提供されており、自主避難者に対しては、避難元と避難先の市町村間の協議に基づく広域入所により保育の提供が可能となっております。
 県といたしましては、避難先の県との連絡調整や、県内市町村への広域入所の対応要請等を行っているところであり、今後とも、県外に避難している子どもたちが保育を受けられるよう支援していく考えであります。

教育長
 県外に避難している子どもたちの幼稚園教育につきましては、震災後速やかに各都道府県に対し、就園機会の確保と就園奨励への支援を依頼したところであります。
 また、被災した幼児に対しましては、避難先の市町村が実施する就園奨励事業により、支援が行われております。

子育て支援担当理事
 県外避難者の子どもの医療費につきましては、これまでも、窓口負担の軽減について関係市町村に対応を依頼しているところであります。

生活環境部長
 県外避難者の支援につきましては、受け入れ自治体等の協力により設置された生活サポート拠点における身近な生活相談や情報提供、孤立化防止のための見守り支援、交流の場の提供などの活動を通し、引き続き、避難者間のネットワークづくりやふるさと福島とのきずなの維持に努めてまいります。

四、障がい者支援について
保健福祉部長

 福祉避難所につきましては、現在、指定している市町村の数は12にとどまっており、制度の活用が進んでいない状況にあることから、市町村に対し、制度の一層の周知と指定の促進を働きかけるとともに、既存の介護施設等に併設して、地域の交流や福祉避難所に活用できるスペースを整備するなどの取り組みに対する支援について検討してまいりたいと考えております。
 次に、聴覚障害者情報センターにつきましては、これまで、聴覚障がい者団体と意見交換を重ねてきた結果を踏まえ、新年度において、手話通訳員の養成・派遣事業やインターネットによる情報提供、相談員の配置など、当該団体と連携した情報提供・コミュニケーション支援のための機能の充実に取り組むこととしたところであります。
 次に、東日本大震災・原発事故の記録集につきましては、今後、障がい者団体とも協議しながら検討してまいりたいと考えております。
 次に、障害者自立支援法につきましては、新法制定の見送り、利用者負担の在り方、障害程度区分の認定を含めた支給決定の方法等が論点になっているものと認識しております。
 県といたしましては、この制度見直しが今後の障がい者に対する福祉サービスの枠組みとなる重要なものであることから、国における同行を引き続き注視してまいる考えであります。

再質問

阿部裕美子県議
 子育て支援推進本部長の知事にお伺いいたします。部局横断的な総合的な体制を子どもについてはつくり、緊急プロジェクトもつくって日本一安心して子育てができる環境づくりを進めるということですが、私も質問準備のやりとりの中で、それぞれ部局横断的ということが非常に弱いなということを実感いたしました。ほんとうに県内の子どもたちがどういう状況になっているのかということが、いろいろな角度からしっかりと把握して、それに対してスピーディに具体的に対策をとっていく、これが子育て支援推進本部の役割ではないのでしょうか。現状を考えた時にとてもお母さんたちとしては、非常に対応が遅い、早く対応してほしいという思いであります。それに応えられるような中身につくっていってほしいと思います。もう一度見解をお伺いいたします。
 次に、風呂の追い焚きについてお伺いいたします。土木部長さんに伺います。災害救助法にないから、3県がそろわないからということではなくて、これはぜひ福島県として取り組んでいただきたいというふうに思います。狭い仮設住宅の中で、2日に一回、3日に一回とお風呂に入ることを節約しながら、暮らしているわけです。せめて温かい風呂に入って、心身ともにリラックスするというのは、当たり前のことではないでしょうか。ぬるいお風呂に入るような状況を想像していただきたいと思います。家族が多いところから希望をとって、追い焚きそのものをやっていくとなかなか財政的にも大変だということですが、いまは電気用品の金額2万円から3万円で対応できるものもあります。そういう対策をもっと被災者に心を寄せた対策をすることが必要だと思います。もう一度お答えください。
 次に、借り上げ住宅の支援について伺います。県外から県外への住み替えが認められていないわけですけれども、これは避難者の方が自立をしていく上で大変大事な内容だと思います。先日も山形に行きました時に、息子さんの仕事の関係、それからお母さんの病気の治療の関係で山形県から茨城県に移るということを言われていた方がおりますが、県外から県外への避難が認められない、そうなりますとこの方の場合は、これからの生活設計を立てる上で、非常に困った事態になってしまうわけです。災害救助法はまだまだ現場の実態と合わない問題もあると思いますので、それは声を上げて変えていく、現場の実態に合うように変えさせていく、その姿勢が県にも必要だと思います。生活環境部長さんに答弁をお願いいたします。

答弁

知事
 子育て支援推進本部、このメンバーは県庁内の全部局長がほとんど入っております。まさにその機能を生かして、総合的に子育て施策を実施してまいりたいと考えております。

生活環境部長
 県外から県外への住み替えにつきましては、現時点においては災害救助法の対象とはなっていないことから、困難であると考えております。

土木部長
 風呂の追い焚きの件でございますけれども、これにつきましても、ヒーター等の装置も含めてですね、引き続き対象とするよう国に要望していきたいとそんなように考えております。

再々質問

阿部裕美子県議
 借り上げ住宅の問題なんですけれども、県外から県外の問題もそうです。これは土木部長さんと生活環境部長さんに質問いたします。
 期間を2年以上延長ということでも働きかけは行っていくということなんですが、借り上げ住宅について県外に避難されている人たちも、県外の皆さんの善意で支援をいただいているわけですけれども、例えば長野県では3月いっぱいで期限切れをむかえる中で、引き続き延長をということが県議会の中でも求められています。それについての答弁は地元・福島県の方針を踏まえて検討していきたいというように答弁をされております。ぜひ、福島県として引き続き延長を求めていただくようお願いしたいと思いますが、答弁をお願いいたします。
 それから、子育て支援担当理事にお伺いをいたします。子どもたちの遊べる環境をつくっていくということで、砂場の問題とか、遊具の除染の問題とか、高圧洗浄機の整備を行ったという、その後はどうなったのかという。やはり最後まで状況をしっかり把握していただくことが、必要ではないかと思います。
 チェルノブイリの時に4000人の甲状腺がんを子どもたちに発症したベラルーシと同じような汚染状況でほとんどそういう状況を発症しなかったフィンランドとの違いは、必要と思えることを全てフィンランドはやったということをうかがいました。もちろんチェルノブイリとは状況もいろんな角度で日本の場合は違っていると思いますが、そこで学ばなくてはならないことは、子どもたちの発育・成長にとって良いと思われることは全てやったという実施姿勢、それではないかと思います。福島県の子どもたちにとっても必要と思えることは全てやっていく。その姿勢が求められると思います。もう一度答弁をお願いいたします。

答弁

生活環境部長
 県外の借り上げ住宅の期間の延長につきましては、引き続き本県の実情を踏まえて期間を延長するように、国に対して要望してまいりたいと考えております。
 また、受け入れていただいている他の都道府県につきましても必要な要請をしてまいりたいと考えております。

子育て支援担当理事
 子どもたちが外で遊べる環境づくりというご主旨のご質問だと受け止めております。子どもたちがほんとうに安心して外で生活できるようなそうした生活空間づくりにつきまして、市町村等と連携しながら今後も取り組んでまいりたいと考えております。



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