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2012年2月定例県議会・反対討論

2012年3月16日  宮本 しづえ県議

 日本共産党の宮本しづえです。
 私は、日本共産党県議団を代表して、採決に先立ち議案第1号、議案第9号、議案第24号、議案第48号及び、議案第57号についていずれも反対の立場で意見を述べます。
 最初に議案第1号、2012年度福島県度一般会計予算案について申し上げます。
 知事が、今年を復興元年と位置づけた新年度予算総額は、前年当初比1.75倍の1兆5763億円と未だかつてない規模となりました。
 地震、津波に加えて、原発事故という人類が経験したことのない事態に対応するためには、当然の予算規模と思います。
 この間、県民と一体となった取り組みによる前進面は当然評価しつつ、なお16万人が避難生活を余儀なくされ、6万3千人が県外に避難し、展望が見いだせないでいる避難者を積極的に支援するものになっているか、原発事故から1年がたって、子どもたちが外で遊べないことなどからくる様々な変化に心を凍らせ、ここで子育てしていいのか、悩みと不安はむしろ拡大している県民の気持ちに寄り添い、一人ひとりの暮らしと生業を支援し、市町村を支援するものになっているか、従来型の発想を払拭して被災全県民の救済支援に、知事が全身全霊をもって国に当たっていくことが求められていることを指摘し、以下具体的に述べます。
 まず原発事故に対して、国と東電の責任を明確にした上で、除染でも、県民健康管理でも、賠償でも徹底した責任ある対策を取らせるための、県としての確固とした姿勢が求められています。
 昨年末に確定した、福島県の復興計画は、原発に依存しない県土の再生を目指すことが明記されたことは、世界のフクシマとなった福島県が全国はもとより、世界に対して果たすべき責任として大変大きな意義を持つものとなりました。
 そして、県は、原発事故による放射能汚染という特別な困難を抱えた県民の支援、福島県の真の復興に向け、福島県の再生のための特別の立法措置が必要だとして、市町村や県民と一体で一貫して求め続け、ようやく国会で成立の見通しが立っており、知事の提案権も盛り込まれるなど、今後に活きるものとなりました。
 県は、放射能の影響が最も懸念される子どもの健康対策として、18歳までの医療費無料化を国に求めましたが、政府は県民のこの要求を退けたため、県が独自に小学校4年生から18歳までの無料化を行うこととしたことは、県民要求に応えるもので評価できる施策です。同時に、引き続き国に求めていく必要があります。
 県のこの間のこうした取り組みの前進面がある一方で、様々な克服すべき課題も明らかになっています。
 まず、最初に指摘をしなければならないのは、この度の原発事故の性格をどのようにとらえるかです。
 わが党議員が、原発事故は人災との認識をしているかの質問に知事は、国策として進めてきた国において解明される問題と述べて、自らの認識を示しませんでした。県民は、明らかな人災と怒っているのです。
 国は既に福島原発事故収束宣言を出し、東電は、人災と認めないがゆえに、賠償金の支払いも、最低の基準とされている紛争審査会の指針の範囲を全く超えない水準に留まり被災者を失望させているのです。
 県民を代表する知事が、人災とは認めないという立場では、救えたはずの命も救えなかった無念や悔しさや、怒り、苦しみ、不安に寄り添い、安心、安全な県土と、県民生活、生業を再建させるためのあらゆる対策を加害者たる東電と国に求めることができるでしょうか。
 知事の基本的認識の根本的転換こそ何よりも強く求められており、そうしてこそ被災者支援、県民支援が保障されるのではないでしょうか。
 同時に、原発事故被災者支援では、まず県として被災者支援を先行して実施した上で賠償させる姿勢が必要だと思います。
 国は、県民の必死の再建の努力をよそに、税と社会保障の一体改革と称して、消費税の増税と社会保障の切り捨てを一体で進めるとともに、TPP参加を進める計画です。これが被災地の復興にどんなに障害となるかは明らかです。県は被災県民の復興を進める立場から明確にこれに反対すべきです。
 国にも東電にも被災県民の立場でハッキリものをいう立場に立ってこそ、福島の復興が進むことを申し上げたいと思います。
 知事は、日本一子育てしやすい福島県をつくると述べていますが、増え続ける県外避難者や、低線量被ばくを受け続けている県民の不安に応えているのかが問われています。
 住み続けられる県土再生の最大の事業となる除染は、一般公共事業をしのぐ2700億円の予算が計上され、最大の公共事業になろうとしています。
 スピード感を持って、現場の声をしっかり聴いた対策が必要ですが、県民の早く除染実施をの願いとは裏腹に、除染は思うようには進まず、三月末まで700戸予定の私の渡利地区はまだ7戸です。
 除染の効果的、効率的な技術や仕組みをつくること、地元の中小事業者に優先発注させ、県民参加型で取り組めるような仕組みづくりにもっと知恵と力を尽くす必要があります。
 そして、この事業を県内の中小事業者の仕事おこしにつなげ、仕事を求める人の雇用拡大につなげるための県の指導力が求められていると思います。
 国が直轄で除染を実施する警戒区域は、間もなく避難区域の見直しが行われます。この地域の対策は、除染一辺倒では済まない多様な問題が内在しています。この間、国は警戒区域の原発立地自治体に、除染で発生する放射能に汚染された土壌の中間貯蔵施設を分散して設置したいとの要請を行いました。
 しかし、最終処分場問題を抜きには仮置き場も中間貯蔵施設も決まらない、自治体現場の苦悩を理解し、国に責任ある対応を求めるべきだと思います。
 子どもの健康不安を抱える子育て世帯の要求を受け止め、対策を講じる取り組みも、不十分と言わざるを得ません。外でのびのびと遊べない子どもたちの発達保障のためにと組まれた遊び場設置の予算は、僅かに2億2千万円、全県で規模の大きいものは僅かに4か所程度しかみていません。
 ふくしまっ子体験活動支援事業は20億円で本年実績より大きく予算を削減しています。子どもにとって遊びの時間と空間は、発達にとってかけがえのないものであり、その環境を整えるにふさわしいものとはとても言えません。
 夏の暑さの中で、窓も開けずに扇風機で授業を受けている子どもたちの姿を想像したことがありますか。市町村任せでなく、県がイニシアチブを発揮すれば、一気に全県の学校にクーラーを設置することができるのです。
 保育所や幼稚園の食品検査器機の配備も、県が判断して一気に学校給食施設に検査機器を入れることにしたのと同じように進めることもできるわけです。
 福島県の子どもたちを守るために、全庁横断であらゆる対策を講じる体制を強化し、県が子どもたちと県民を守るメッセージを発し県民と市町村を支援すべきです。
 生活再建の土台をなす被災した住宅の支援でも、被災者生活再建支援法の対象とならない14万件に上る一部損壊住宅に対する支援を県独自に実施する方針がありません。県内28の市町村が独自に支援策を講じたものの、被災件数が多いいわき、郡山、福島などで対策が取られないために、圧倒的多数の被災者は支援からはずされる状況にあります。
 岩手県では、様々な県の支援策で被災住宅の再建を進めつつあります。本県は被災件数が多いので困難との理由では、県内被災者は救えません。
 また、福島県の基幹産業である農業が瀕死の危機にあえいでいます。食品の放射能基準値が見直され、米は100ベクレル以上は出荷規制となりました。
 国は、この基準で作付制限を行うとしていましたが、農家の怒りの前に作付は市町村の判断で認めてもいいとの見解が出されました。放射能による土壌汚染により、農民は、農業を続ける意欲を削がれ、農民の誇りを奪われたのです。
 原因を作った国が他人事のように作付を認めるか否かなどということ自体が、責任を認めない態度そのものであり、そのことに農民が怒っているのです。
 米の管理は国が全責任を負う立場に立って、全量買い上げ、全量検査を実施し流通させるか否かを決めるべき問題です。
 しかし、県は国に責任ある対策を求める立場には立ちきれていません。これでは、福島県の農地は荒れ放題となり、耕作放棄地がさらに拡大することは否めません。作物を作りながら、農地を維持管理し、国土を保全する、国土の番人の誇りを持って、農業を続けられる条件づくりを国と東電に求めていくべきです。
 県内地元中小企業の復興も遅々として進みません。避難区域の商工会加入業者の事業再開率は42.6パーセントと報告されています。
 帝国データバンクが行った県内被害甚大地域内の1205社の調査では、依然として7割の事業者が営業不能の状態にあり、被災3県では最悪と報告されています。
 被災者支援策として実施される二重ローン対策も、県内で債権買取が決定した事業者は1件もないのが実態であり、地元中小業者の再建にこそ県は全力をあげなければなりません。
 新年度予算で、県は地域経済の復興のためとの理由で、誘致する企業に対する助成金の限度額を現行の35億円から200億円に実に5.7倍に拡大し、復興の目玉にしましたが、県内地場企業の復興支援こそ優先すべきではないでしょうか。
 県民生活の復旧最優先に取り組むためには、不要不急の事業を見直す必要があります。しかるに、日本共産党が繰り返し見直しを求めてきた小名浜東港建設事業に新年度も国の事業を合わせると約64億円の事業費がつぎ込まれようとしています。
 今この事業を急ぎ推進しなければならない理由は見当たらず、中止すべきです。今やるべきことは、震災で大打撃を受けた既存の港の整備に全力を挙げることです。
 また、会津地方の山のみち事業についても、見直しを求めるものです。
 県の執行体制、とりわけ職員の増員は各会派からも必要性を求める質問が集中したように、従来型の定数管理に拘束されることなく、正規職員の増員で対応すべきことを申し上げます。
 以上、新年度予算案に関して意見を述べました。
 今後補正も含めて、被災県民の支援に全力を挙げることを要望し、一般会計当初予算、及び、議案第9号2012年度港湾整備事業特別会計予算には反対いたします。

 次に議案第24号福島県税条例の一部改正案についてですが、国は復興のための財源を国民に新たな復興税を賦課するとし、県分500円、市町村分500円合わせて1000円の均等割りの増税をしようとするものです。
 均等割りが1000円上乗せされますと、県民一人当たり6000円の均等割りとなり、所得割の非課税世帯にも重い負担となります。
 復興財源は被災者からとるのではなくて、徹底した無駄の見直しを図ること、莫大な積立金をため込む大企業に応分の負担を求めることでこそ賄われるべきです。
 この議案には、被災者を支援する当然の措置もありますが、復興財源確保の基本方針は容認できません。

 次に、議案第48号、福島県教育関係職員定数条例の一部を改正する条例についてです。原発事故によって避難を余儀なくされた子どもたちは、各地にてんでんばらばらに避難しました。親や友達を失くした子どもたちが、なじんだ先生も無慈悲に切り離され、劣悪な教育環境の下での生活を強いられました。
 最も支援を必要とする子どもたちの学習権を保障するためのきめ細かな対策が求められていたのに対して、県は子どもの数で教員を配置することを基本にしたため、今年度は教員採用試験すら行いませんでした。新年度は採用試験を行うとしていますが、正教員を増やす方針は示されていません。
 放射能から子どもを守る取り組みは、長期に及ぶことから、今こそ常勤講師で賄ってきた、30人学級の必要教員分を正教員に切り替え、系統的な対策が講じられるような態勢を作り上げる時だと考えます。
 従来のやり方を踏襲する定数条例の見直しだけでは不十分と考えますので、この条例案には反対をいたします。

 さらに、議案第57号、県の行う建設事業等に対する市町村の負担についてですが、これだけの大震災と原発事故による放射能汚染の広がりの中で、必死に住民を守るために頑張っている市町村を応援するためにも、これまでの負担金は撤廃する決断をする時ではないでしょうか。除染も健康対策も市町村が主体で取り組まなければなりません。今こそ市町村応援の県政の姿勢を明確に示すべきです。

 以上申し上げまして、私の討論を終わります。



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