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2012年6月1日

福島県知事
 佐藤 雄平 様

日本共産党福島県議会議員団
団 長  神山 悦子
副団長  宮川えみ子
副団長  阿部裕美子
幹事長  宮本しづえ
政調会長 長谷部 淳

2012年6月定例県議会に関する申し入れ

はじめに
 5月5日、泊原発3号機が定期検査に入ったことにより国内50基の全原発が停止し、国民の目の前で「稼働ゼロから原発ゼロ」の実現は政治決断で可能であることが明らかになりました。二度と「フクシマの悲劇」を繰り返さないためには、原子力に依存しない社会をめざすことを明確にした発信をいっそう強めていかなければなりません。原発問題では、「原発ゼロの日本」への決断をしてこそ、電力供給や再生可能エネルギーへの転換でも、原発立地自治体の雇用と営業でも本腰が入ります。
 衆議院の「社会保障と税の一体改革」特別委員会で各党の論戦が展開されています。自民党は衆院選公約を民主党が撤回すれば消費税増税法案に賛成できると“迫り”、野田佳彦首相は「違いはあるが折り合える」と答えました。消費税増税でなれ合っているようにしか見えないやりとりです。しかし、民主党と自民党は折り合えても、国民は暮らし破壊とは決して折り合えません。
 国民のなかには、民主党政権の相次ぐ公約違反により政権交代による政治の変化への期待が裏切られ、自民党政治にも戻りたくないという政治的閉塞感が広く生まれています。巨大メディアに担がれ、閉塞状況につけこんだ反動的逆流である橋下・「大阪維新の会」が示している「維新八策」は、古びた「新自由主義」路線そのものであるとともにファシズムにつながる異質の危険性を持つことが明らかになりつつあります。この潮流は公務員などを既得権者として激しく攻撃し、国民を分断する卑劣な手口であり、社会的連帯を強めて反撃することが重要です。
 福島復興再生特別措置法が本年3月30日に成立し、その具体化を図る基本方針の策定に向けた準備が進められています。また、被災市町村でも復興計画の策定が進むなかで、浪江町は復興ビジョンで町民一人ひとりの生活再建が復興の基本であることを明確にし、全国どこに住んでいようと浪江町民であり支援することを明らかにしていることは重要です。国の基本方針にたいして、福島県民の実情と願いを反映し、復興再生に即効力のあるものとするために全力を上げることが大事です。
 大震災・原発事故から1年3ヶ月になろうとしている中で、警戒区域の見直しが進められています。除染、インフラ復旧・整備が進まないなかでの「見直し」が賠償の打ち切りの理由とされることのないよう求めると同時に完全賠償を最後まで貫くことが必要です。
 また、避難者数は16万人以上、県外避難者は6万2千人余になるなど、依然として事故の被害は継続しています。狭い仮設住宅での生活が長期間にわたることから住環境の改善は喫緊の課題となっています。災害復興住宅の建設を関係自治体と連携して急ぐことが求められています。
 被災者支援では、県内自主避難者への支援が全くなされてこなかったことは、法の下の平等の観点から一刻も早く手立てをとることが求められています。
 東日本大震災と原発事故の被害に苦しむすべての県民に寄り添い、その苦難の軽減に行政の持てる力を余すことなく発揮することが切実に求められています。
 県政には、以上の観点に立って、次の具体的施策の実施を要望します。

1.原発事故について
 県は原発を推進してきた態度を真摯に反省し、原発事故は人災であるとの立場で責任ある対応を国と東電に求めることが重要です。
(1)政府による「事故収束宣言」の撤回を強く求めること。
(2)夏の電力需要期を控え大飯原発をはじめ各地の原発に再稼動の動きがあることは重大です。福島原発事故の原因解明がされないままに、再稼動を政治決断で決めることは許されません。国に対しこれらの原発を再稼動しないよう強く求めること。
(3)知事自身が原発事故を人災と認め、これまでの原発行政への反省を県民に誠実に示すこと。
(4)東電に対して、事故が人災であったことを認めさせ、誠実な完全賠償を強く求めること。
(5)国・東電の拠出は当然のこととして、原発メーカーを始めとする原発関連のゼネコン・商社・金融機関・研究機関などの法人・個人から広く拠出させる「原発事故被害補償基金」の創設を国に求めること。
(6)原発事故収束作業員の労働条件の改善を東電に求めること。
(7)県自身が県民に正確な情報を提供する立場に立ち、第三者機関が事故を起こした原発の状況を解析することができるようにするため、東電に徹底した情報公開を求めること。
(8)双葉断層や、井戸沢・湯ノ岳断層などの活動を徹底調査すること。

2.福島復興再生特措法に基づく基本方針の策定と福島県総合計画の見直しについて
 東日本大震災と原発事故を受けた本県は、市町村と県民に対する県政の役割が問われています。福島県復興再生特措法に基づく基本方針策定と県総合計画の抜本見直しにあたっては、以下の点をふまえることを求めます。
(1)すべての県民が被災者であるとの立場で県民一人ひとりのくらしと生業の再建を目指し、それに必要な施策を講じること。
(2)避難区域の見直しにあたっては、住民の意見が十分反映されるよう国に求めること。
(3)子どもと県民の長期にわたる健康管理体制を構築すること。
(4)福島県総合計画の見直しについて、東日本大震災と原発事故によってこれまでの県政のあり方が抜本的な見直しを迫られています。県民の暮らしと将来の安心、地場産業の育成、災害に強いまちづくりを根本に据えて、教育、医療、介護などの施設の建設を中心とする福祉型公共事業投資の拡充、福祉型の公務部門拡充による雇用の拡大、第一次産業・地場産業の再建などを図ること。

3.原発事故被害に関する県民への賠償について
(1)県南地方と会津地方住民への精神的損害に対する県の給付金について、東電に賠償金として支払うよう強く求め、仮払い法などの活用を国に強く求めること。
(2)引き続き東電に地域格差を設けず完全賠償するよう求めること。
(3)旧緊急時避難準備区域の賠償を8月に打ち切るという方針を撤回するよう国、東電に求めること。
(4)生活保護者の原発事故に関する賠償金および給付金は、精神的損害に対する賠償であり本来収入認定するべきでないことをふまえ、自立更生計画書提出についてのていねいな援助を前提として基本的には収入認定しない措置を講じること。
(5)賠償金への課税は行わないよう国に引き続き求めること。

4.被災者支援について
 災害救助法に基づく被災者支援策は市町村任せにせず、県が実施主体として全ての被災者が漏れなく支援を受けられるように市町村を支援することが大事です。
(1)帰還を希望する避難者が早期に元の生活を取り戻せるよう、公共施設の復旧等の支援を強めること。
(2)災害救助法による住宅応急修理事業は市町村によって周知徹底がなされず、再開を求める声が大きい。被害の実態を正確に把握し、災害救助法による住宅応急修理事業の受付を再開すること。
(3)法の支援から外れる一部損壊住宅被災者に対する支援策を講じること。
(4)県内自主避難者への災害救助法適用を行い、家賃補助等の支援を行うこと。
(5)県外避難者への民間住宅借上げ制度を終了ないし実施していない全国25県に対し、県として受け入れ実施と再開を要請すること。
(6)仮設住宅の住環境の改善を引き続き図ること。エアコン、風呂の保温ヒーター、物置に加え除湿対策などを行うこと。
(7)仮設住宅内の通路が狭く救急車が戸口まで入れない状況になっている。何らかの対策をとることと合わせて、今後の仮設住宅建設や復興住宅の建設にあたっては対策をとること。
(8)民間借り上げ住宅に避難している被災者に対し、実態把握を行い情報提供やきめこまかな支援を行うこと。
(9)2万3千人を超える被災者が避難しているいわき市をはじめ、住宅問題は喫緊の課題です。復興公営住宅の建設を急ぐこと。
(10)高齢者などが利用しやすいように、仮設店舗や仮設診療所等の敷地内も舗装を行うこと。
(11)使用できなくなった障がい者施設を含む福祉施設が早期に再開できるよう、あらゆる支援を行うこと。
(12)震災前から介護保険関連施設の不足が問題になっており、施設整備計画の抜本的な見直しを行うこと。
(13)施設を再開しようにも職員が戻らずに100%稼働できない現状にある被災地の状況を踏まえて、介護職員の処遇改善の支援を継続できるよう県独自の対策を講じること。
(14)県外避難者への支援として、高速道路料金無料化の復活を国に再度求めるとともに、県独自の支援策を講じること。

5.効果的、効率的な除染の促進について
(1)国に対して、新基準の撤回を引き続き強く求めること。
(2)国直轄の除染事業のあり方をよく検証し適切な情報公開を求めること。作業労働者の被曝軽減策の指導を徹底すること。
(3)仮置き場が決まらず苦慮する市町村が多く存在する状況を踏まえ、町内会単位の小規模なものも含めて住民合意が得られるものとなるよう、市町村を支援すること。
(4)住民が独自に業者に依頼して除染を行ったものについても、かかった経費を負担する仕組みの活用を図ること。
(5)市町村職員不足が、除染を進める障害となっている現状を直視し、市町村職員の増員について支援するとともに、国に定員管理の対象としないよう求めること。
(6)農地および森林の除染方法の実証実験の結果を示すとともに、効果的な除染の方法についても早期に具体的に示すこと。

6.子どもをはじめ県民が安心できる生活環境をつくるための対策を
(1)18歳以上の全ての県民に対しても医療費の無料化、健診費用の無料化を図ること。
(2)県民健康基本調査の提出の有無に関わらず「県民健康手帳」を全県民にもたせるようにすること。
(3)県外へ避難した子どもの医療費についても避難区域であるなしに関わらず現物給付を行うよう国の制度実施を求めること。
(4)「ふくしまっ子体験活動応援事業」の予算と内容を拡充すること。
(5)「子どもたちのための屋内遊び場」を増やす支援を行うこと。
(6)今年の夏を迎える前に、全県的に学校の教室にエアコンの設置が行われるよう市町村を支援すること。
(7)希望する県民に線量計を配布すること。視覚障がい者に対する「しゃべる線量計」を無料で配布すること。
(8)県としてがん基本条例の制定を一刻も早く行うこと。
(9)県立子ども病院を設置すること。
(10)県立養護学校の教室不足が改善されないまま今日に至っていますが、そもそも県立養護学校そのものが不足しています。増設を視野に早期改善を図ること。
(11)国保税課率改定を前に、国保税の更なる負担増を招かないために、前年度繰越金や財政調整基金の活用について市町村を指導するとともに、県独自の財政支援を行うこと。
(12)国が行っている医療費無料化に伴うペナルティ措置をやめるよう国に求めるとともに、当面はペナルティ分を県が負担して市町村国保財政を支援すること。
(13)県職員の障がい者雇用を増やし、点字試験での採用を実施すること。
(14)生活保護に関わって、成人した子の親の扶養は無理のない範囲で求めることとされており、芸能人親族の保護需給を契機にした保護の締め付けは行わないこと。

7.福島県の産業復興と再建、再生可能エネルギーの爆発的普及について
(1)福島県の復興の大きなさまたげとなるTPP参加への反対を明確にすること。
(2)被災施設等の復旧・整備に対する補助や中小企業グループによる一体的な復旧・復興を支援するための補助費の不足が問題になっています。十分な予算を確保すること。
(3)米の全袋検査については上から指示をするやり方ではなく、現場の状況をよく聞き、現場の実態に対応できるようにすること。
(4)野菜類について、モニタリング調査だけでなく農家が出荷前に測定を無料でできるようにすること。
(5)福島産の農林水産物の風評被害を防ぐために、検査結果の表示を徹底するなど対応をとること。
(6)福島県の農業振興にむけて、推奨作物など作付の展望を示すこと。
(7)再生可能エネルギーの抜本的促進を図ること。そのためには、メガソーラーなどの推進ばかりでなく、県内の豊かな自然の資源を生かした既存の水力や中小水力、太陽光、風力、バイオマス、熱などのさまざまな自然エネルギーを活用し、地域や団体等の取り組みを支援すること。県有施設や学校などの公共施設への導入を急ぐこと。
(8)県民や事業所などが、再生可能エネルギーを導入しやすいように電力の買い取り制度を改善し、固定価格での全量買い取り制度の構築を国に求めること。

8.只見川流域の大規模水害について
(1)昨年7月の集中豪雨による只見川流域の大規模水害の原因を解明し、住民が納得する再発防止対策と、被災者への補償策が講じられるようにすること。



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