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2012年6月県議会知事提出議案、議員提出議案、請願についての討論
2012年7月4日 長谷部淳

 日本共産党の長谷部淳です。
 日本共産党を代表し、知事提出議案第10号に反対、議員提出議案第65号は否決、同27・28・29・30・31・63・66号は可決、請願16・17・19・20・28・78・90号は採択の立場で意見を述べさせていただきます。

 最初に知事提出議案第10号です。県が行なう建設事業等に対する市町村の負担について、私たちが繰り返し指摘しているように、県が全額負担すべきです。市町村負担は義務ではありませんから、市町村を応援する広域自治体の県として、大震災で苦しんでいる市町村の負担撤廃こそ決断すべきです。

 さて今議会は、国会での消費税増税法案の衆議院での採択、政府による大飯原発の再稼働をめぐる緊迫した中で開会し、被災県の議会として、県民の願いや切実な声にどう応えるかがきびしく問われるなかできょうの閉会日を迎えています。
 政府による福島復興再生基本方針には、「『福島の再生なくして日本の再生なし』国は、この考え方の下、福島の復興及び再生を国政の最重要課題と受け止め」ると書き込まれる予定です。

 最初に消費税増税にかかわる請願16号・19号、議員提出議案27号・28号についてです。
 被災した福島県民すべてが塗炭の苦しみのなかで生活と生業の再生に必死になっているときに、基本方針の考え方を否定するに等しい増税を押しつけるなど許せるものではありません。
 消費税はもともと低所得者ほど負担が重い逆進性があること、中小企業などは税率を価格に転嫁できず身銭を切らざるを得ない税金です。まして、生活再建のために住宅建設や家財道具の購入が必要な被災者にはもっともきびしい税金です。そのうえ、最大の公共事業となり、莫大な費用が見込まれる除染、道路整備や公共施設の復旧などにもすべて消費税が課せられ、復旧・復興を妨げるものでしかありません。
 そもそも消費税増税が民主党政権による公約違反であることは国民の常識であり、今も国民の5〜6割は反対であり、民意にまったく背くものです。しかも民・自・公3党談合によって13.5兆円の増税だけがむき出しになり、「社会保障のため」という論拠は完全に破たんしました。
 しかも税収不足を補い、社会保障のためと言って1989年に消費税を導入後、大企業や高額所得者への減税策がとられてきたため、1997年に5%に引き上げられてからも、消費税の税収は当然増えているにもかかわらず、2010年には1996年と比べ税収全体では16兆円も減ってしまっています。消費税しか財源がないかのような話は欺瞞です。
 この消費税は、たとえば県立病院に対しても莫大な損税を強いており、2010年度に県立病院の損税は1億7000万円に上っているにもかかわらず、税務署には消費税を760万円も支払わされており、この損税の発生は今の消費税のしくみのうえでは必然であり、これは民間を含めすべての病院の問題であって、消費増税は地域医療の崩壊に拍車をかけるものであることをきびしく指摘しておきます。

 次にTPPにかかわる請願17号・28号、議員提出議案29号・30号についてです。TPPの最大の特徴は、農産物を含め、モノの貿易で関税を全面的に撤廃することを原則にしていることです。そしてTPPは、金融や保険、医療保険制度、労働者の移動などに関して、国民生活を守るために設けられている制度や仕組みを、「非関税障壁」として、その撤廃・緩和をめざしています。
 しかもこの交渉内容は、4年間公表しない取り決めになっていることを野田首相自身が認めており、「情報収集と説明責任を果たし、十分な国民的議論を経たうえで結論を得ていく」などという言明も、画に描いた餅にすぎません。
 県議会は、昨年9月県議会は全会一致で、決議の形で一度は意志を示しており、事態が進んでいる今、被災地の復旧・復興を妨げることが明らかなTPP参加への反対の意志を国に届けることは当然のことです。宮崎県議会では、昨年9月議会に続き、直近の6月議会でもTPP参加は「国民への背信行為であり、断じて許されるものではない」と意見書を採択しています。被災県こそ、この強い意志を国に届けるべきです。
 ひと月前の6月2日、県内のTPP関連では最大の県内37団体、約1000人が参加して、ここ県庁前で「TPPから日本の食と暮らし・いのちを守る県民集会」が開かれたばかりです。村田副知事、斎藤県議会議長、県選出国会議員も来賓あいさつを述べています。主催した地産地消運動促進ふくしま協同組合協議会会長の庄條JA五連会長は「今やるべきはTPP交渉参加や消費税増税でなく被災地の復旧・復興だ」と力を込めました。
 県議会がこうした声を封じることがあってはなりません。

 尖閣諸島にかかわる議員提出議案65号についてです。
 尖閣諸島は1895年1月の日本政府閣議決定によって日本領に編入して以来、日本の実効支配が行なわれてきたものです。戦後の一時期、アメリカの施政権下に置かれましたが、1972年に施政権が日本に返還され、今日に至っています。
 わが党は、尖閣諸島が日本に帰属しているという見解を1972年に発表し、歴史的にも国際法上も日本が領有している明確な根拠があることを明らかにしてきました。2010年には領有の正当性についてあらためて明らかにし、日本政府並びに各国政府にわが党の見解を伝えてきました。
 中国側は1970年以降になって突如、領有権を主張し始めましたが、その主張は成り立ちません。なによりも1895年以来1970年にいたる75年間、一度も日本の領有に対して異議も抗議もしていないのです。中国の領有権の主張に正当性はありません。
 同時に、尖閣諸島をめぐる紛争を解決するために何よりも重要なことは、日本政府が尖閣諸島の領有の歴史上、国際法上の正当性について、国際社会及び中国政府に対して、理をつくして堂々と主張し、外交努力をつくすことです。
 私たちは、中国政府に対し、事態の緊張を高める対応を避け、冷静な言動や対応を求めると同時に、日中両政府が、問題を話し合いで平和的に解決するよう、両国の一層の外交努力を呼びかけるものです。
 その点で、議案第65号が言う、「領海警備に関する必要な法整備」が、自衛隊が平時から領有警備できることを意味することは、「尖閣諸島を守る全国国民集会」や「領有警備の強化を求める国民集会」などの「決議」や自民党代表のあいさつで明らかであり、軍事的対応によって両国間の緊張を高める懸念が強いもので、賛同するわけにはいきません。

 参院議員福島選挙区定数削減にかかわる議案66号についてですが、国会議員を削減することは、身を削るようなことではなく、民意を削り、まして被災地の定数削減は、被災地の声を削ることにほかなりません。身を削るというなら、年間320億円の政党助成金こそ廃止すべきです。
 請願20号について、国立病院はじめ公立病院が放射線被ばくによる健康管理の役割を果たすことは当然であり、請願78号についても、原発被害を受けた県の米の栽培に関して国が責任をもつことは当然のことです。
 請願90号について、再生可能エネルギーの爆発的普及を促進するにあたり、住民の合意を得ることは不可欠で、当然、採択すべきものです。

 以上の理由から、知事提出議案第10号(県の行う建設事業等に対する市町村の負担の追加および一部変更について)について反対、議員提出議案65号は否決すべき、議員提出議案第27号・第28号・第29号・第30号・第31号・第63号・第66号は可決すべき、また請願16号・17号・19号・20号・28号・78号・90号は採択すべきことを表明します。
 議員のみなさん、安全神話という蚊帳のなかで、思考停止した財界、政界、官僚、御用学者、巨大メディアが、圧倒的多数の国民を蚊帳の外に追いやる形で福島原発事故を引き起こしました。消費税、TPPなどの問題をめぐってもまったく同じ構図です。
 原発推進、消費税増税、TPP参加は国民が頼んで出てきたものではなく、財界とアメリカが望んでいることです。その蚊帳の外の多くの国民は、財界の言いなりになり、アメリカに追従する政治はもうごめんだ、と思い始めています。
 蚊帳のなかでの思考にとどまることはやめて、ダメなものはダメ、いいものはいい、と、なによりも県民の目線で、そして自らの政治家としての良心に基づき、ご判断されるよう訴えまして、討論を終わります。



日本共産党福島県議団
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