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<2012年9月県議会 議案に対する討論>

2012・10・11 (10/8 9:00AM)
県議 神山悦子

 日本共産党の神山悦子です。議案に対する意見を述べさせていただきます。
 きょうは、昨年の大震災・原発事故からちょうど1年7か月です。今もなお県内に約10万人、県外へ約6万人、合わせて約16万人もの県民が避難を余儀なくされています。震災関連死は、10月7日時点で1,112人になりました。避難が長引く中で、精神面のストレスばかりでなく、健康面でも影響を受けていることが明らかになっています。

 今議会では、雇用対策、中小企業等へのグループ補助金の拡大、さらに、原子力災害による避難者の恒久住宅の整備も明らかにされましたが、県内自主避難者への支援については何も具体的な支援策はありませんでした。
 一方、国は昨年12月に出した「事故収束宣言」以降、特例で認めた失業給付金延長の打ち切り、国保税や介護保険、後期高齢者医療への医療費減免のうち切り、避難指定区域とそれ以外の地域などで線引きするなど、分断も持ち込まれています。財物賠償においても再取得可能となる基準が示されず、それは除染についても同様です。
 原発事故さえなかったらこんな事態にならずに済んだはずです。原発事故という異質の危険によって、空間的にも時間的にも社会的にも困難を余儀なくされたのです。事故を起こした東京電力と国策として原発を推進してきた国の責任は明白です。
 今議会では、県民健康管理調査に関わって大きな問題になりましたが、県民の放射能に対する不安と行政への不信が大きく広がっていることを示しました。あらためて透明性を確保して、広域自治体としての県の本来の役割を発揮して、被災した県民と市町村を支援すべきことを強調しておくものです。

 最初に、今議会に提案された知事提出議案について意見を述べます。
 知事提出議案第8号 福島県税条例の一部を改正する条例についてですが、これは、避難区域の見直しに伴い、新たに設定された避難指示解除準備区域内における家屋、その他の敷地、農用地の代替取得に係る面積分の不動産取得税減免の特例措置の創設と、合わせて、先の通常国会で「社会保障・税一体改革関連法」が成立したばかりの地方消費税の税率を引き上げる等の条例改正を提案しようとするものです。
 そもそも、大震災以前から国民の所得も消費も落ち込んでいる時に、13.5兆円もの増税をかぶせたら、日本経済の6割を占める個人消費と日本の雇用の7割を支える中小企業に大打撃を与え、日本経済をどん底に突き落とすことになることは火をみるよりも明らかです。国や県の税収はいっそう落ち込み、財政も悪化するばかりで財政再建にもなりません。
 特に、今議会でわが党の阿部県議が代表質問で指摘しましたように、中小業者は価格に転嫁できず、自腹を切って納税しているのが実態です。地域経済にも深刻な打撃を与え、被災地の本県にとっても復興の足かせになるだけです。
 また、現行のように人口割などで配分がきめられれば、本県にとってはいっそう不利ではありませんか。
 私たちは、消費税に頼らなくても、能力に応じた負担の原則にたった税・財政の改革と、国民の所得をふやす経済の民主的改革を同時にすすめ、社会保障の充実と財政危機の打開をはかる別の道を提案しています。国会で成立したばかりとはいえ、世論調査でも国民の6割以上が消費税増税に反対しています。2014年4月の実施までにはまだ1年半もあります。今議会ですぐに県条例を改正する必要性はないことを指摘し、この条例改正には反対です。

 次に、知事提出議案第19号 県の行なう建設事業等に対する市町村の負担の追加及び一部変更についてですが、これは今年6月県議会で提案された施行箇所の追加及び事業費の変更に伴い追加を求めるものですが、これには反対です。県の建設事業は、県の負担で実施するのは当然のことであり、従来のやり方で県が行なう建設事業について被災市町村へ負担を求めるのは中止すべきです。

 知事提出議案第27号 訴えの提起についてですが、これは、県営住宅の入居を継承できない住民が不適正に入居を続けているとして、明け渡しを求め裁判所へ提訴しようとするものです。
 この入居者は30代の単身の男性で、昨年同居していた母親が死亡したことにより、入居要件を満たさなくなったためとのことですが、裁判所に訴えて決定すれば退去ということになります。しかし、単に県営住宅の入居要件だけで判断してよいのでしょうか。暮らしや雇用の問題など、事情によっては福祉的な対応も必要です。県として丁寧で充分な対応が求められます。したがって、この訴えの提起については賛成できません。

 次に、議員提出議案について意見を述べます。
 議員提出議案第95号 税制全体の抜本改革の確実な実施を求める意見書についてですが、これは今年6月15日、自民・民主・公明の3党で修正合意した消費税増税関連法に伴い、低所得者の負担が過重とならないよう国へ求めるとしています。
 しかし、「一部低所得者への負担軽減を盛り込ませることを国へ求める」としたこと自体、所得の少ない人ほど負担が重くなるという、消費税の逆進性があることを自ら認めたものではありませんか。知事提出議案第8号 福島県税条例の一部を改正する条例でも述べたように、そもそも消費税増税も社会保障削減もやるべきではありません。

 国民と被災地の県民がこれほど疲弊している時に、今後13.5兆円、社会保障の削減も加われば20兆円ものあらたな負担増となります。しかも、今回の関連法には、庶民には大増税を負わせる一方で、附則に、増税分を「成長戦略」「防災」「減災」を口実にした大型公共事業に充てるとしています。これでは財政再建もできません。
 よって、第95号議案には反対、97号消費税増税の実施中止を求める意見書と第106号、第107号の意見書提出を求める請願については、ぜひ採択とするよう議員各位の賛同を求めるものです。

 次に、議員提出議案第102号「革新的エネルギー・環境戦略」の実効性の確保を求める意見書ですが、
 この「エネルギー戦略」は、今年9月14日に野田・民主党政権がまとめたものですが、今議会で阿部県議も示したように、「原発ゼロ」を口にしながら先送りにし原発に固執するものです。この間、福井県の関西電力の大飯原発の再稼働をはじめ、中断していた建設中の原発を再開させるとして、今月1日青森県の電源開発(Jパワー)大間原発の建設工事を再開させました。そして、核燃料サイクルを着実に推進するとまで明言しているのですから、全く矛盾しています。意見書では、「閣議決定に至っていないことから実効性の確保には疑問が残る」と述べていますが、閣議決定は財界やアメリカの圧力を受けて見送られたものです。
 また、意見書では廃炉について「国の関与で安全かつ確実に」と求めていますが、知事が総括質問で答弁したように、わが県は第二原発まで含めた10基全基廃炉を国に求めているのに対し、国はいまだに第一原発の1〜4号機しか明言していないのです。このことには、何らふれておりません。
 いまや国民の8割以上が原発ゼロを求めています。今年の猛暑の夏も乗り切れました。本県は、原発事故で16万人以上の県民がふるさとを追われていまだ苦しみのさ中にあります。
 未曾有の原発被災を受けた福島県議会としては、原発を「即時ゼロ」にすることを国に求めること。そして、原発に代わる再生可能エネルギーの爆発的な推進と低エネルギー社会への取り組みを本格化させることこそ必要です。

 最後に、議員提出議案第100号ですが、これは東京へのオリンピック招致を支援する決議です。
 わが党は、オリンピックの開催そのものに反対ではありません。しかし、2020年東京招致には、わが党都議団も反対を表明しました。それは、東日本大震災の被災地の復興はいまだ入口の段階であり、原発事故や放射能除去も収束にほど遠く、被災者と自治体が納得できるような復興対策に国が総力をあげて取り組むことが求められていること。 

さらに、東京でも近い将来大地震が襲う可能性が高いことが指摘されていることから、4000億円近い開催準備金を活用して、都民の安全・安心を確保するための防災・福祉の東京づくりに全力を尽くすときだとしています。この立場から、決議には反対です。

 以上意見を述べまして、知事提出議案第8号、第19号、第27号には反対、議員提出議案第95号、100号、102号に反対を表明し、討論とします。

以上



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