HOME BACK ご意見・ご要望をお寄せ下さい
TOPICS
議員団紹介
政策・提案・見解
県議会報告
県政の資料
議員かけある記

2012年9月定例県議会を終えて
日本共産党福島県議会議員団
団 長  神山 悦子
副団長  宮川えみ子
副団長  阿部裕美子
幹事長  宮本しづえ
政調会長 長谷部 淳

はじめに

 東日本大震災・原発事故から1年7ヶ月が経過しました。国による警戒区域の見直しが進められていますが、新たな線引きと賠償問題に避難者の不満は高まっています。一方、除染やインフラ整備が進んでおらず、帰還の見通しは立っていません。原発事故は、生活と生業の再建にも大きな障害となっています。いまだに避難者は16万人に上り、そのうち県外避難者は約6万人です。
 9月末に行われた民主党代表選、自民党総裁選の結果、民主党は野田佳彦首相が再選され、自民党は安倍晋三元首相が総裁に選出されましたが、両氏とも党内屈指のタカ派であり、日本の政治の右傾化をいっそう進める危険をはらむことになりました。
 日中間で領土問題が大きな問題になっていますが、尖閣諸島は、歴史的にも国際法上も日本の領土であることは明白です。9月20日、日本共産党は政府に対し、「領土問題は存在しないという立場を改め、冷静で理性的な外交交渉によって、日本の領有の正当性を堂々と主張し、解決をはかるという立場に立つべき」との申し入れを行いました。領土問題は、県内の経済活動にも影響が出はじめています。
 日本共産党が、9月25日に政府に申し入れた「『即時原発ゼロ』の実現を―日本共産党の提言」では、すべての原発からただちに撤退する政治決断を行い、「即時原発ゼロ」を実現することを強く要求しました。
 一日も早く原発の危険を除去する必要性、緊急性がいっそう切実になるとともに、その条件があることも明らかになりました。その第1は、事故の被害は拡大しつづけており、二度と原発事故を起こしてはならないこと。第2は、原発稼働を続ける限り、処理する方法のない「核のゴミ」が増え続けること。第3は、原発の再稼働が国政上の大問題になったが、その条件も必要性も存在しないこと。第4は、国民世論が大きく変化し、「原発ゼロ」を目指す声は、国民多数となっていることです。
 一方、9月19日、新たに設置された原子力規制委員会は、原発を推進してきた環境省のもとに設置されるなど、独立した規制機関とはとても言えません。また、原発推進政策の中枢にいた人物が責任者となる委員会に、まともな規制機関としての役割を期待することはできないことは明らかです。
 7月6日、国会事故調査委員会の最終報告で原発事故を「明らかに人災」としたことは重要です。
 7月9〜18日には県議会の海外行政視察としてチェルノブイリやドイツ、フィンランドなど訪問し、原発事故対策、再生可能エネルギーなどについて調査しました。党県議団からは長谷部淳県議が参加しました。
 7月30日には、県知事に対して、「オスプレイ配備反対の明確な意思表示を国に対し行うよう求める申し入れ」を行いました。
 9月定例県議会に先立ち、8月17日には9月定例県議会にかかる知事申し入れを行いました。また、9月18・19日には来年度県予算編成に係る「要望をお聴きする会」を開催し、県教職員組合が初めて参加するなど17団体から要望を聞きました。
 9月定例県議会は、9月25日から10月11日までの会期17日間で開催されました。この県議会で代表質問には阿部裕美子県議、一般質問には宮川えみ子県議、総括審査会質問には宮本しづえ県議が立ちました。
 会期中に、県民健康管理調査検討委員会の運営についてのマスコミ報道を受けて、県は内部調査委員会を設けて調査し、報告。党県議団は、知事に対して全資料の全議員への開示、議長に対して調査の継続を申し入れました。県が事前に意見調整していたことが明らかになりました。
 10月11日、最終本会議で採決が行われ、知事提出議案25件、議員提出議案として意見書15件、決議1件、請願10件を採択、可決しました。神山悦子県議が討論を行い、知事提出議案第8号「福島県税条例の一部を改正する条例」、第19号「県の行なう建設事業等に対する市町村の負担の追加及び一部変更について」、第27号「訴えの提起について」には反対、議員提出議案第95号「税制全体の抜本改革の確実な実施を求める意見書」、第100号「東京へのオリンピック招致を支援する決議」、第102号「『革新的エネルギー・環境戦略』の実効性の確保を求める意見書」に反対を表明しました。
 党県議団のエネルギー政策議員協議会の開催を議長に申し入れ(6月18日)に基づいて、この間理事会が3回開会され、議会後の10月19日に開催することになりました。
 新規請願の提出で党県議団が紹介議員になったものは12件で、「TPPへの事実上の参加表明を撤回し、関係各国との協議を中止することを求める意見書の提出について」(福島県農民運動連合会)は多数で、「社会保険二本松病院の必要医師の確保を図り、来年4月以降も周産期医療及び現在の診療体制の継続を求める意見書の提出について」(社会保険二本松病院を守る会)、「聴覚障害者情報提供施設の早期設立を求めることについて」(社団法人福島県聴覚障害者協会)は全会一致で採択されました。

1、わが党の代表質問・一般質問、他会派の質問の特徴

(1)わが党の代表質問、一般質問について

◆代表質問:阿部裕美子県議(30分)

 原発事故後1年半が過ぎた今なお、不安や苦しみ、困難を抱えている県民の思いに寄り添い、解決を求める問題を中心に、原発問題、県の総合計画の見直しについて、賠償問題、除染対策、労働者の命と健康を守る問題について、被災者・避難者支援について、県民の健康管理体制、医療・福祉の充実について、再生可能エネルギーについて、教育問題、オスプレイ問題を取り上げました。
 「原発ゼロの声」を上げていくことが被災地福島の重要な役割であることを強調しました。「原発ゼロ」の政治判断を政府に求めるべきと質したところ、知事は「本県での原発事故がもたらした広範囲かつ深刻な被害の現実を踏まえて、国においても原子力に依存しない社会、これを目指す必要があると考えて」いると述べたことは一歩前進です。
 総合計画の見なおしに当たっては、(1)県民一人一人の暮らしと生業を取り戻すことを基本とすべきこと、(2)本県にとって遅れていた分野である医療・教育・福祉を重視した内容とすべきことを求めました。
 賠償問題については国が提示した賠償基準では3.11前の生活を取り戻すことができません。また、国は避難指示区域の見直しを受け入れないと賠償に応じないとの不当な態度をとっていることを指摘し、県の認識を問いました。
 国が不要とした森林除染について、県は森林整備と組み合わせた除染は有効とし、計画的な除染に取り組むとしました。
 県北浄化センターの汚泥処理については周辺住民に丁寧に説明を行いながら進めていくと答弁。
 有給による「避難休暇制度」創設を国に求めるべきとの質問については難しいとの回答でした。
 国民健康保険、介護保険、後期高齢者医療制度の減免打ち切りに対しても県としての独自支援については国保税及び一部負担金への補助しかありません。なお、市町村においては、5市町、国保一部負担金16市町村、介護保険の保険料減免3市町、利用料減免は13市町村が継続することが明らかになりました。後期高齢者医療制度は減免継続をしないこととしました。
 自主避難者の借り上げ住宅の支援についても、住民票を移動しなければ公立学校に入ることができない教育権が侵害されている問題についても柔軟な対応はなく、具体策は示されませんでした。
 県民の健康管理を促進していくための基本調査の回収促進や看護師・医師不足への対応、健康検査、がん検診の無料、県民の医療費無料などを求めましたが、踏み込んだ回答はありませんでした。いざという時に使用できる福祉避難所確保は急がれる重要課題であることを指摘しました。
 再生可能エネルギーは、地産地消の地域循環型経済に貢献できるものとすることを指摘しました。

 教育問題については、(1)少人数学級実現のための正規職員増員、(2)情緒障害時短期治療施設の設置、(3)いじめの対応、(4)学校へのエアコン設置、(5)学校・幼稚園の耐震化を取り上げました。
 オスプレイ配備反対・低空飛行訓練反対の意思表示を国に求めるべきと質しましたが、県は、政府の対応を注視するとともに、引き続き情報の収集に努めるとの答弁でした。

◆一般質問:宮川えみ子県議(20分)

 原発問題、雇用対策、地域防災計画の見直しと災害時要援護者対策、仮設住宅支援、いわき市が抱える諸問題、漁業対策を質問しました。
 原子力規制委員会と規制庁は事実上の原発維持機関であると指摘し、真に規制が行われる体制を国に求めるべきと質しましたが、知事は規制と推進は分離されたとの認識を示しました。
 原発収束宣言の撤回を明確に国に求めるべきと質しても、完全収束の通過点に過ぎないの認識を示しながらも、撤回は明言しません。
 原発労働者問題を取り上げ、労働環境の実態把握と改善を求め、また、安全確保と事故収束のための経費確保、長期的な健康管理と生活保障問題についての質問。原発作業従事者は今年4月から8月までの5ヶ月間で年間被曝限度の50ミリシーベルトに対し20ミリシーベルトを超えたものが143人(約2%)で厳しい環境下で働いていると認識していると答弁。
 福祉人材の確保と聴覚障害者情報提供施設の早期設置を求めました。現在のセンターは法的基準を満たしていないことを認め、県は、できるだけ早く関係者団体と協議していくことを明言しました。
 原子力防災計画での範囲の拡大を求めました。
 いわき市が約23,000人の避難者を受け入れている問題を取り上げ、医療・福祉分野への県の支援、一部損壊住宅への県の支援策を求めました。
 漁業問題では、海底土壌モニタリング強化、魚介類の検査体制の強化などを求めました。

◆総括審査会質問:宮本しづえ県議(15分)

 県民健康管理調査検討委員会問題、除染問題、賠償問題について質問しました。
 冒頭に、マスコミ報道で県政不信が高まる県民健康管理調査検討委員会の運営問題を取り上げ、事前準備会資料からも、調整、誘導はあったとの共産党県議団の認識を示し、当局の認識を質しましたが、県は誤解を招く行為があったとの答弁を繰り返すにとどまりました。
 甲状腺がんが発見され、健康不安が増大している甲状腺検査体制の強化、とりわけA2判定の早期に丁寧な説明を行うとともに、二次検査が必要とされたB判定の検査を少なくても1か月以内には実施できるようにするため、日本中のみならず、世界の英知の結集を図ってでも検査体制を作るべきと求めました。
 県内必要住宅戸数の0.7%しか終了していない除染については、現場の汚染状況に沿って市町村が方法を決められるように、国のガイドラインの柔軟対応、財源補償を国に求めることを提起。そもそも原因者の国が、市町村にストップをかけられる立場ではないことを指摘しました。県も同じ認識で国に求めると答弁しました。
 除染事業を地元事業者に直接発注する仕組みを作るとともに、最も不安が大きい子どもと妊婦のいる世帯を優先して除染する二本松市の例を紹介、進んだ事例を交流する機会を県のイニシアで開催するよう求めたのに対して、実施する方針と答弁しました。
 賠償問題では、特に現在の避難地域を線量で3地区に再編し、避難地域見直しと賠償問題をリンクさせて国が受け入れを迫っている問題を取り上げました。7月に示された賠償基準に対して、関係住民の間から「この基準では、住宅再建はとてもできない」と強い不満と批判が起きています。まず再取得可能となるように財物賠償基準の見直しを国に求めるべきと迫ったのに対して、県は、この基準も区域見直しと賠償とのリンクを容認する立場です。

(2)他会派の質問の特徴について

 質問の項目は多岐にわたるものの、除染、賠償の質問に事故収束宣言の撤回や「原発ゼロ」の政治決断を求める立場の質問は、他会派にはありません。これらが最大の特徴と言えます。
 賠償問題で最も批判が高まっている避難区域の財物賠償基準、避難区域の見直し受け入れを前提としている問題について、見直しを求める立場での質問は共産党県議団だけでした。自民党は意見書案で当初は「公共事業の補償に準じた財物賠償」を求めていましたが、「実態に見合う賠償」とトーンダウンしてしまいました。
 復興へ向けた県職員の増員・体制強化、原子力災害対策など長期にわたる課題に対応する職員育成、市町村での専門的技術を持つ人材を含めた人材の採用への県の支援について、与党会派中心に質問がありました。これまで「行革」の名で人員削減に手を貸してきたことにはまったく触れません。
 廃炉作業状況のわかりやすい情報提供を国や東電に求めることや、県による監視体制の整備について、社民議員や未来ネットが質問しました。廃炉関連産業への県内企業の参入へ県の支援を求める質問もありました。
 除染にかかわっては自民・民主・未来ネットとも、中間貯蔵施設について県の役割を問うもの、仮置き場については保管容器の品質確保を含めた安全性の確保、市町村の実情に応じた多様な構造、県有地の提供を求める質問が相次ぎました。また森林除染についても自民・民主・ネットが取り上げました。
 再生可能エネルギーにかかわっては、他会派も「飛躍的な推進」(自民・未来ネット)、「太陽光発電の更なる導入推進」(自民)、「継続的に支援するファンドの創設」(民主)などの言葉も使い、推進を求めました。また関連企業の誘致・集積・ネットワークづくり、木質バイオマス燃料の提供促進を求める質問もありました。

2、各常任委員会審議の特徴

◆総務常任委員会:宮川えみ子県議

 県職員定数を300人増やす条例の改正や国の消費税増税法案が通ったことによる県の条例改正案などが審議されました。福島県にかかわる消費税は2010年度決算ベースで、歳入で585億円、歳出で360億円と示されました。改正消費税は人口割分が増えるといい、福島県は人口が減り大都市の税収が増えるという矛盾に陥いることが明らかになりました。

◆企画環境常任委員会:長谷部淳県議

○企画調整部
 地域活動団体などのとりくみを支援する「地域協働モデル支援事業」の増額、住宅用太陽光発電設備設置の支援や小水力発電導入のための調査費用など再生可能エネルギー普及拡大事業の増額、国から交付される復興交付金の基金への積み増しなどで、49億円余りの増額補正です。
 質疑では増額補正の内容を問うものに加え、総合計画見直しのために開催されている地域懇談会で出されている意見、避難関係市町村に県が配置している駐在員から届けられる現場の声、長期の避難生活を強いられる避難自治体住民の生活拠点をめぐり、受け入れ自治体との個別協議の状況、教育・医療・介護・福祉などの提供体制の整備が不可欠で大きな課題であることを強調しました。

○生活環境部
 市町村が実施する地域ブランド・イメージ回復のための交付金事業、避難者の帰還を支援するNPOなどへの支援事業、環境創造センター(仮称)整備事業、海外県人会サミットの開催など風評被害払しょくのための海外への情報発信強化事業、災害見舞金交付など、67億円余りの増額補正です。
 質疑では、廃炉へ向けた県独自の監視体制検討の状況、原発周辺に県が設置し残存していた19局モニタリングポストの解析結果の説明を求め、また、国による「事故収束宣言」の撤回を求めるよう引き続き求めました。県は、事故が収束しているとはまったく言えず、国が言うステップ2の完了は通過点に過ぎない、と繰り返すのみで、撤回を求める姿勢は示しませんでした。
 また、この委員会として、事故原発の定期的な視察を提起しました。

◆商労文教常任委員会:神山悦子県議

○商工労働部
 中小企業支援では、被災中小企業等へのグループ補助枠を拡充するための補正予算が計上されました。これは、今年5月の募集で101グループ350億円の申請に対し、47グループ124億円分が未採択となっていること。予算も18億円しか残金がないため、今後の申請予想分も含め120億円の増額補正を計上。本県は、原発被災があり、避難が今後数年間にわたることから、来年度以降も継続すること。また、県単の中小企業等復旧・復興支援事業についても継続するよう求めました。
 雇用対策については、雇用保険の特例による延長が9月末で終了するため、4,500人の失業者に対し約3,000人分28億円の緊急雇用創出を補正で計上。今年度の緊急雇用創出事業25,000人の雇用計画に対し、11,513人の実績が示されたものの4割程度(8月末現在)です。緊急雇用対策にとどまらず、再生可能エネルギー分野での具体化や地元産業の支援でも雇用にもつなげること、青年の雇用を増やすためにも正規雇用での拡大を求めました。
 7月26日に産学官連携で再生可能エネルギー関連産業推進研究会が立ち上がり、県内の350の企業や団体が入っていることが示されましたが、ようやくこれからという現状です。
 企業局では、県が誘致したヤフーの「白河データセンター」が、10月1日県工業団地内に開業。今後最大5棟増設される予定とはいえ、ヤフー社員は3人、委託業務での雇用は25〜30人程度です。

○教育委員会
 サテライト校等に通学する生徒に対し、教育の備品やトイレ整備、芸術鑑賞や文化講演会などの特別活動支援、大学等への進学支援もするとして大学見学の補正予算です。
 学校耐震化については、小中学校が72.1%、高校が70.1%で全国平均を12.7ポイント下回り全国43位であることを指摘し、早期の対策を求めました。
 また、阿部県議の代表質問で取り上げた会津若松市へ自主避難した子どもたちが、住民票を移動しないことを理由に、公立学校に入れないでいることに関して質問。私立学校に転入した子どもは月額19,000円の授業料が生じていること。県外に避難した子どもと同等の扱いにすべきと質しても、特例は避難指定区域内との国の「通知」の範囲から一歩もでないものでした。

◆農林水産常任委員会:阿部裕美子県議

 震災で大きな打撃を受けた本県農林魚業復興を中心とする補正予算です。パイプハウスなどの農業用施設・機会を整備する事業に1億4千万円。警戒区域の離れ牛の殺傷処分(約300頭)を行う家畜衛生対策費1億8百万円。請戸など壊滅的な被害を受けた漁港の荷さばき所の整備を行う水産業振興総合対策施設整備費8億円などが主なものです。米の全袋検査に係るかかりまし経費60億円の専決処分の報告、承認も行いました。
 一般的事項ではあんぽ柿の今年の見通しや農作物被害が大きくなっているイノシシ対策、米の全袋検査でサンプリング検査がすべて終了するまで出荷を待たなければならない問題の改善を国に求めていくことが論議されました。現地調査は二本松市渋川の森林除染の県事業を視察しました。

◆土木常任委員会:宮本しづえ県議

 避難者のために県営の復興公営住宅を500戸建設する用地取得、設計のため48億円の予算が計上されました。どこに建設するのか質問。県はこれから避難地域自治体の要望を聞きながら決めたいとして具体的な地域は明らかにしませんでしたが、その後、総括審査会で、予定地の見通しが立ったとして、いわき市に250戸、残りの250戸を郡山市と会津若松市に建設する方針を示しました。
 県営住宅明け渡しの訴え提起の件は、親と同居していた30代の男性に対して、入居要件を満たさないとの理由で強制退去させようとするものです。単身というだけで退去を迫っていいものなのか、若者の雇用、生活環境が一段と厳しくなっている下では、住宅入居要件の見直しも必要ではないかと提案、この議案には反対しました。
 県が行う事業に対する市町村負担金の議案にも反対しました。
 仮設住宅の改善要求について、先月、浪江町民が住む福島市内宮代仮設住宅自治会が要望したキッチンの改善等について対応すべきと質したのに対して、実現の方向で検討中であると述べました。その後、掃き出し口の設置、キッチンの取り換え、外で交流できるテントの設置等が実現しました。

◆子育て・健康・医療対策特別委員会:阿部裕美子県議、長谷部淳県議

 議会閉会中の7月24日〜26日にかけ県外調査をしました。広島大学原爆放射線医科学研究所では放射線医学の研究・医療体制について、広島県保健福祉部被爆者援護課からは被爆者援護対策について、兵庫県こころのケアセンターではこころのケアに関する研修・相談・診療体制について、奈良県立医科大学では臨床研修医の定着に関する医大としての取り組みについてそれぞれ説明を聞き、質疑しました。
 議会中の委員会では、「子育て支援・教育・人づくり」にかかわる主要事業の進捗状況について執行部から説明を求め質疑しました。
 除染にかかわって線量低減化活動や住民理解を促進するための地域フォーラムに関する評価、子どもたちの屋内遊び場確保事業の充実、一部の病院に対する放射線相談外来設置支援の全県への支援拡充、県外避難子育て世帯交流事業の充実、18歳以下の医療費無料化実施直後の状況、少人数教育のさらなる推進、放射線から子どもの健康を守る事業を総合的に部局横断的に推進すべきことなど、活発な質疑が行われました

◆産業振興・雇用・県土再生対策特別委員会:神山悦子県議、宮川えみ子県議

 7月31日〜8月2日にかけて宮城県の調査を行い、亘理町・仙台空港・東北電力仙台火力・大崎市を視察し、災害公営住宅や集団移転、メガソーラーや地域おこしなどを調査。
 9日は、産業振興・雇用対策の進捗状況を審査。意見として、県土をどのように復興するか、再生可能エネルギーを飛躍させる戦略も、数値目標も見えないなどの質問が相次ぎました。県は12月定例会において「再生可能資源エネルギーアクションプラン」に数値目標を入れて提示したいとしました。
 要望の大きい「中小企業グループ等整備補助事業」と雇用対策についても、引き続いて継続するよう求めました。

◆県議会海外行政視察:長谷部淳県議

 長谷部議員は、県議会海外行政調査団17人の一員として、2012年7月9日から18日の日程で、原発事故対策、再生可能エネルギーの調査のため、ウクライナ、ベラルーシ、ドイツを訪問しました。清水修二福大教授が顧問として同行し、また、マスコミ各社の記者も随行しました。
 事故から26年たったチェルノブイリでは、いまだ事故原発の収束の見通しもなく、放射線の健康影響だけでなく、心理的・社会的影響も含め、傷跡が深い現実を目の当たりにしました。
 国家として「脱原発」を決断したドイツでは、再生可能エネルギー普及のために住民参加が位置づけられ、これを行政が支え推進する仕組みづくりに腐心し、固定価格買取制度がこの仕組みを支える構造です。
 帰国後、長谷部議員は報告書作成のための9人の編集委員の1人となり、8月3日から9月21日までに3回の編集委員会、3回の調査団全体打ち合わせなどを経、8月28日には報告書「速報版」、9月27日には最終報告書を議長に提出しました。いずれも「福島県議会」ホームページに掲載されています。
 最終報告書では、福島原発廃炉へ向けた取り組み、除染及び農業対策、健康管理、風評被害対策、放射線教育、避難者支援・損害賠償などについて、調査団としての「提言」も盛り込まれました。

◆エネルギー政策議員協議会理事会:長谷部淳県議

 震災前の2010年12月以来開催していなかった県議会エネルギー政策議員協議会のテーマと開催時期を決めるために、8月31日、9月20日、議会開会日の9月25日と理事会が開催されました。党県議団からは長谷部議員が理事になっています。
 各会派からは再生可能エネルギー政策についてじっくりと検討するために急ぐ必要はない、県当局の震災時の初動体制の検証を受けてから、といった意見が出されましたが、意見の調整が整い、10月19日、原子力規制委員会の今後の取り組み、事故原発の現況をテーマに、原子力規制委員会、東京電力を呼んで開催することとなりました。

3、県民健康管理調査検討委員会をめぐる問題について

 今議会中に3回にわたり毎日新聞が報道した、県の県民健康管理調査検討委員会が事前の準備会で意見のすり合わせをしていた問題は、県のこれまでの会議のあり方や県民健康調査に対する信頼が大きく損なわれる事態となりました。
 県は、総務部に調査委員会を設置し、検討委員はじめ関係職員40人らに聴き取りを行うとともに、会議録等の関係書類を調査し、その結果を県議会の福祉公安常任委員会で報告し、関係書類を委員会に公表しました。しかし、県は今回の報道を受け、透明性の確保、県民の健康への不安の解消などの改善策を示したものの、「事前調整はなかった」と結論づけました。
 一方、県当局の報告を受けた県議会の対応も問題でした。党県議団は、福祉公安常任委員会に所属していないため委員外発言を申し入れましたが、委員長は発言を認めず、県当局が提出した関係資料の閲覧についても委員以外には非公開としたのです。
 最終日にもあらたな疑惑が報道されたことを受けて、議長へ継続調査をする緊急申し入れを行いましたが、当局と本会議場での副知事の捕捉発言で了承としました。
 県議会が、県民へ与えた影響からいっても議会全体で真相究明にあたり当局をチェックするという議会の役割を自ら否定したことは、議会の自殺行為に等しいものです。
 党県議団は、県に対し徹底した情報公開を申し入れ、全容解明を求めました。今回の問題は、県が事前の準備会で意見調整をした事実があったといわざるを得ません。
 県民の健康を長期管理するために重要な「県民健康管理調査」ついては、県民への信頼回復は欠かせません。県民の目線に立った県民健康管理調査や甲状腺検査の体制強化を求めました。

4、請願・意見書について

 東日本大震災からの復旧・復興、原発事故収束と県民の受けた被害の全面賠償など、県議会として「オール福島」で国や東電に迫る立場に立てるかが問われる議会となりました。
 消費税増税反対の意見書案には、共産党と福島・みどりの風の一人が賛成しましたが、反対多数で否決されました。
 TPP参加反対は、6月定例県議会では自民党が反対に回ったことで意見書案は否決されましたが、今議会では県民連合が退席するなか、共産党と社民党、福島・みどりの風のほか自民・公明も賛成し採択されました。
 社会保険二本松病院の医師確保や聴覚障害者情報提供施設の早期設立、私学助成、保育の充実などの県民要求が全会一致で採択されたことは重要な変化です。

(1)採択された意見書〜15件

(1)平成24年度予算執行に当たり地方の財政運営に支障が生じないよう十分な配慮を求める意見書
(2)税制全体の抜本改革の確実な実施を求める意見書
(3)私学助成の充実強化等に関する意見書
(4)東京電力福島第一原子力発電所の安全確保を求める意見書
(5)「革新的エネルギー・環境戦略」の実効性の確保を求める意見書
(6)避難指示区域の見直しに伴う賠償に関する意見書
(7)気象事業の整備拡充を求める意見書
(8)TPP交渉参加に向けた取組を断念することを求める意見書
(9)「脱法ドラッグ」とりわけ「脱法ハーブ」に対する早急な規制強化等を求める意見書
(10)患者数が特に少ない(遠位型ミオパチー等)希少疾病用医薬品(ウルトラ・オーファンドラッグ)開発促進・支援のための法整備等を求める意見書
(11)社会保険二本松病院の必要医師の確保を図り、来年4月以降も周産期医療及び現在の診療体制の継続を求める意見書
(12)「福島復興再生特別措置法」において放射能から子どもたちを守るために保育所が担う責務の裏付けや職員充足による処遇改善のための財政支援を求める意見書
(13)中小企業の成長支援策の拡充を求める意見書
(14)再生可能エネルギー設備の設置に関する規制緩和等を求める意見書
(15)自治体における防災・減災のための事業に対する国の財政支援を求める意見書

※党県議団は(2)、(5)の2件に反対しました。党県議団が福島・みどりの風と共同提出した「消費税増税の実施中止を求める意見書」は否決とされました。また、ふくしま未来ネットワークが提出した「TPP交渉参加に当たり、国内対策の充実を求める意見書」はTPP参加が前提のため党県議団は反対、賛成少数で否決となりました。

(2)採択された決議〜1件

 「第32回オリンピック競技大会及び第16回パラリンピック競技大会の東京招致を支援する決議」がわが党以外の賛成多数で採択されました。党県議団はオリンピックの開催そのものに反対ではないものの、東日本大震災の復興も、原発事故の収束もほど遠い段階であること、東京でも近い将来大地震が襲う可能性が高く防災・福祉の東京づくりにこそ全力を尽くすべきとして反対しました。

(3)わが党が紹介議員となった請願の結果について

 9月定例県議会に党県議団が紹介議員となって提出された12件の請願の結果は以下の通りです。

【採択された請願】
◆TPPへの事実上の参加表明を撤回し、関係各国との協議を中止することを求める意見書の提出について(福島県農民運動連合会)
◆社会保険二本松病院の必要医師の確保を図り、来年4月以降も周産期医療及び現在の診療体制の継続を求める意見書の提出について(社会保険二本松病院を守る会)
◆聴覚障害者情報提供施設の早期設立を求めることについて(社団法人福島県聴覚障害者協会)

【不採択にされた請願】

◆消費税増税実施中止の意見書の提出を求めることについて(消費税をなくす会福島県の会)
◆消費税増税の中止を求める意見書の提出について(福島県商工団体連合会)

【継続にされた請願】

◆オスプレイの配備と飛行訓練の中止を政府に求める意見書の提出について(福島県平和委員会)
◆「所得税法第56条の廃止」を求める意見書の提出について(福島県商工団体連合会婦人部協議会)
◆政府に「いますぐ原発ゼロ」を実現するよう意見書の提出を求めることについて(新日本婦人の会福島県本部)
◆原子力損害賠償金は非課税とする特別立法制定を求める意見書の提出について(福島県商工団体連合会)
◆東日本大震災被災者の一部負担金の免除と保険料(税)の免除の継続を求める意見書の提出について(福島県保険医協会)
◆東日本大震災により被災した被保険者に対する保険料減免及び一部負担金免除措置の継続を求める意見書の提出について(福島県社会保障推進協議会)
◆「ふくしまっ子体験活動応援補助事業」をさらに拡充し、長期に渡り継続することを求めることについて(東日本大震災・原発事故被害の救援・復興めざす福島県共同センター 放射能対策子どもチーム)

以 上



日本共産党福島県議団
〒960-8670 福島県福島市杉妻町2番16号 TEL:024-521-7618/FAX:024-523-3256
jcpfskg@jcp-fukushima.gr.jp
Copyright(c)2004 fukushimakengidan All rights reserved.