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9月定例会に関する要望書
2004年9月9日

福島県知事
佐藤栄佐久 様

日本共産党福島県議会議員団
団 長 神山 悦子
長谷部 淳

はじめに

 9月5日投票で行われた第17回知事選挙は、4期16年つとめられた佐藤知事が五選されたが、今後の県政にとって様々な課題が明らかになった。私達は、県民の暮らしや地域経済の深刻な状況をふまえ、“くらし応援の全国一あたたかい県政”に切り替えるため多くの県民とともに小川英雄候補を推薦して闘った。結果は15.0%の得票率で前回を1.1ポイント上回った。知事への支持は有権者比で42.4%と低下している。
 選挙を通して明らかになった、以下の点を特に指摘するものである。

(1) 投票率が50%をギリギリ超えたが、過去最低の数字である。選挙管理委員長談話では前回と変わらぬ戦いの構図を理由の一つにしているが、知事と議会の関係が一体化し、わが党以外が積極的に「オール与党」という立場に身を置いていることが、県政の活力を奪い、県民の関心を低めてきたことは否めない。そういう県政の姿に対する批判の現れが投票率に反映したものといえる。選管は「投票率向上」のテレビCMに約1千万円、他県に比べても多額の予算をつぎ込んだが、本来の取り組みとは言えない。県民の多面的意見や要望が反映できる県政をつくるため、議会の役割は一層重要になっており、その役割を果たすため私達は一層努力するものである。

(2) 知事は選挙中に「国庫補助負担金の3.2兆円削減」の内容として意見の分かれた義務教育費国庫負担金削減を知事会議でゴリ押しした事を自慢した。政府借金の地方への押しつけが明白なうえ、反対意見を押し切って多数決で決めること自体地方自治の自殺行為といえるが、小学校分を含め国庫負担を全廃した場合、税財源の移譲が行われても本県は121億円減少になる。「義務教育は誰が責任を持つのか」「税収の地域格差をどうするのか」と言う重大な基本問題を県民に説明せず、税源移譲により「地方が自由に使える」という<形>だけを自慢するのは極めて無責任である。そのことは既に今年度の「三位一体改革」による保育所の扱いでも明らかであり、これによる市町村の困難に県は何の支援もしていない。

(3) その一方で知事は「国から市町村と住民を守るのが県の役割」と強調された。この立場は私達が県議会のなかで一貫して主張してきたことであるが、これまでの4期16年間はこれと逆の県政が行われてきた事への反省は何も語られていない。

(イ) その端的な現れが農業施策である。国に従い減反政策と輸入自由化を前提にした農政を続け、本県地域経済の機関である第一次産業の衰退とともに地域格差・過疎化を深刻にしてきたのが実際である。

(ロ) 医療費の連続する負担増のなかで医療を受けたくとも受けられないという深刻な事態である。そうしたなかで県の無料化制度、なかでも重度障害者医療費公費負担制度の後退が検討されていることは言葉とは全く反対のことである。

(ハ) 同様に市町村国保事業が、国の負担率引き下げ以来保険税の連続する値上げにより滞納者と累積滞納額が増え続け、深刻な事態になっているにもかかわらず、他県で多く行われている「医療費軽減の福祉的施策に対する国のペナルティによる歳入減」と「保健事業」への財政支援を全く行っていないのが本県である。

(ニ) 佐藤県政のもと、これまで保健所の統廃合、県内唯一だった視力障害児の入所施設の廃止、農業改良普及所の縮小が強行され、県立高校の統廃合のレールが敷かれてきた。さらに県立病院の統廃合、県立福祉施設の民営化、県立大学の独立行政法人化が準備されている。

(ホ) 県立施設建設への関係市町村の負担(寄付)強要、「未来博」に代表される様々な形での市町村への負担押しつけは目にあまるものであり、TRG(須賀川)や本宮の工場団地、白河市への工業用水道事業の押しつけ、巨大な摺上ダムをはじめ広域上水道用水供給事業の市町村まかせによる水道料金高騰や市町村財政負担増など、県施策や計画・方針による市町村被害も深刻である。

 以上、主な実績を見ただけでも「県民と市町村を守る」という言葉と実際の施策との乖離は激しいものがある。この克服がきちんと位置づけられる必要がある。

(4)  知事選挙直前の美浜原発での死亡事故とその後の全国的チェックにより、改めて「安全点検」がずさんなものであり、事業者も国も依然として無責任体制であることが証明された。そのことから知事がズルズルと運転再開を容認してきたことが「県民への安全・安心」から見て適切なものでなかったこともまた示されたわけである。

 国に求めた「維持基準の導入見直し」の立場を貫くことが求められており、廃炉のためのルールづくりを求めていくことが必要である。知事も何度か強調されたように、「原発の後にまた原発でよいのか」「原発依存の地域振興からの脱却」が、県土づくりや地域振興の基本とされてきた。

 ところが選挙中知事は、双葉町の演説で「(7・8号機の増設は)廃炉の問題などがすっきりして、若い人たちがやりたいというのであれば、構わないのではないか」と発言し周囲を驚かせた(「民報」8.25)とのことである。従来の知事の基本姿勢とどう整合するのか、大いなる疑問である。

 以上の諸点を指摘し、小川候補とともに県民に訴えてきた県政の転換のため奮闘するものである。90年代後半の「公共事業垂れ流し」の政府に追従し、バブル期の計画である大型開発事業を積立金と借金を使って「ブルドーザーのように」押し進めてきた結果、1兆2千億円もの借金をつくっただけでなく空港のようにそれらが今日も財政的重荷になっている。それなのに「財政構造改革」と称して県民サービスを切りつめるやり方は、知事の言う本来の県政のあり方ではない。当初予算編成時にも申し入れたが、全国最下位レベルの医療や福祉、教育への予算を増やし、財政再建を図るためにも、大型開発事業への抜本的メスを入れ、無駄を省く先頭に知事自身が立つべきである。

 当面する県民の暮らし応援のため、以下の施策を具体化されるよう要望する。

1、台風被害の対応と防災への整備を

 7月10〜18日の新潟・福島・福井の集中豪雨は、県民生活に大きな被害を及ぼした。自然災害のすべてをなくすことはできないが、災害から県民の命をまもること、被災者の生活と営業を復興すること――これは行政の力でできることであり、県政がそのために全力をつくすことを、強く求める。

(1) 数回にわたる台風による被害箇所の復旧を迅速にすすめるとともに、何度も災害を繰り返す箇所については、抜本的な対策を講じること。

(2) 再生産を保障するための農家への支援、被災市町村への支援を行うこと。

2、相馬共同火発の配管破裂事故への対応と原発について

(1) 火発の配管点検について、8万時間以上の運転後に最初の点検をするとか、50カ所程度の点検でよしとする「火力発電所の定期点検指針(社団法人 火力原子力発電技術協会)は疑問である。県民の安心・安全確保の観点から県は、この「指針」の見直しを求めること。

(2) 新地発電所1号機と2号機では設計メーカーが違っているにもかかわらず、単に作業しにくいという理由から、2号機の設計変更を行っている。しかも配管の材質については考慮していなかった。メーカーの責任に押しつけるような事業者の姿勢は問題である。コストを優先して、作業員の安全確保の対策がおざなりになっていたと言わざるを得ない。県としても実態をつかみ、県民に説明すること。

(3) 県内立地の原発の配管点検は、これまでの点検状況確認にとどめず、いったん全部停止して、あらためて徹底調査をすること。安全が確認できない炉は廃炉を提案すること。

(4) 老朽化が進んでいる原発と共存している県民の「安心と安全」はアウトソーシングで担保はできない。事業者自らの社会的責任として設備管理の組織と要員を整備することと、その提示を県は求めること。

3、県立病院の切りすて、統廃合はやめること

 県立病院は、公的医療機関として、地域医療での一般医療だけでなく、民間医療機関が担えない分野の医療や人材・技術養成、過疎地やへき地での医療提供などのきわめて大きな役割の発揮が求められる。これを、「県民主権・患者主権に基づく良質・公平・安全・安心な医療の提供と健全経営の実現」としてどう具現化するかの議論を先行すること。

 ところが、県財政の悪化を口実として、どこの病院を廃止して、どこを統合するかの議論に終始する現在の進め方は、転倒しているといわざるをえない。およそ「県民主権・患者主権」をふまえていない。県民の命と健康を守る医療にどう責任をもつか、の議論を県としてしっかりとすすめ、県民へしっかりと説明すること。

以 上



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