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12月定例会に関する要望書
2004年11月11日

福島県知事
佐藤 栄佐久 様

日本共産党福島県議会議員団
団  長 神山  悦子
               長谷部 淳

 はじめに

 10月23日午後5時56分、新潟県中越地震が襲いました。死者が30人を超え、負傷者も2千人以上と、人的被害は阪神・淡路大震災以来、最大となってしまいました。日本列島全体が地震活動期に入ったといわれるもと、地震に対する総合的な被害防止策を確立することは、県民の安全・安心確保のための文字通り緊急の課題です。
 県内の景気動向は「持ち直しの動き」といわれるものの、県民の実感からすれば、ほど遠いものです。年末を迎えようとしているいま、失業と倒産に苦しんでいる人びとに心を寄せ、県民の暮らしと営業、雇用を守る立場から、全力をあげてとりくむことを中心に、当面している以下の事項について要望するものです。

1.地震被害対策の確立

 新潟県中越地震は、主に中山間地を襲い、多数の孤立地帯が生じました。昨年来、東北・北海道で大きな地震が続き、本県においても「地震警戒態勢」をとって具体的な防災策と地域再建策をとらなければなりません。
(1)「災害弱者」といわれる高齢者、障がい者などへの情報伝達手段の提供、自力で避難できない人たちへの避難支援体制、避難者に対する緊急医療体制を具体化しておくこと
(2) 被災した自宅敷地にスペースがあれば、そこへ仮設住宅を建てるなどの対応ができるようにすること
(3) 被災を契機とした「地域社会の崩壊」や「過疎化の進展」を防ぎ、地域社会復活を手助けする支援策を具体化すること。たとえば、住宅再建なくして地域再建はありえないことから、県独自の実効ある住宅再建費補助金を創設すること
(4) 災害時避難所になる公的施設、とりわけ公立学校の耐震化を計画的に緊急に促進すること

2.「三位一体改革」について

  「三位一体改革」について、政府の方針は、03年6月の「骨太の方針第三弾」で明らかにしたように、国庫補助負担金の廃止・縮減と税源移譲をセットにして、補助負担金の縮減額の8割を税源移譲する、地方交付税の縮小はそれとは別個に進める、というものです。
 補助金削減案のまとめを、地方6団体に依頼したのは、政府方針であるこの方向に地方を巻き込もうとするものにほかなりません。地方にとってみれば、8割しかこない税源移譲のために補助負担金の廃止案を提出させられ、そのうえ地方交付税を削減されるのであり、ふんだりけったりの方向でしかありません。
 また、地方の「改革案」には、13都県が異論を唱えたのであり、これを「金科玉条」のごとく、県民に「一致団結」を強いることはできません。
(1) 教育や福祉の分野にかかる国庫補助負担金については、財政論からではなく、現場の要望を大切にしつつ、憲法上の国の責任などを明確にして、「どのように充実するか」の視点で議論すること
(2) 国庫補助負担金の廃止を先行させるのでなく、税源移譲、地方交付税措置を文字通り一体的に実施させる立場を堅持すること
(3) 国庫補助負担金縮減の8割しか税源移譲せず、これと別個に地方交付税を削減する政府方針には断固として反対すること

3.入札制度の改善

 10月15日、公正取引委員会は、地方自治体では本県だけで橋りょう工事をめぐる談合を認定し、勧告を行ないました。認定された期間以降について談合がなかったと認定したものではない、とは公取委自身の話です。
 談合は犯罪行為です。談合を排除することは、公正な競争を可能にするばかりでなく、建設業の技術を国民本位に生かすことが目的です。入札制度の改善は、建設業界の元請けー下請けー孫受けという従属的構造や、建設労働者の不安定な就労形態を改善することに資するものでなければなりません。
(1) 下請け業者に対する発注価格の妥当性なども調査する低入札価格調査制度を導入すること
(2) 談合の防止、分離発注の積極的導入、元請け業者を増やす目的を明確にした条件付き一般競争入札を導入すること
(3) 入札参加資格審査の透明性を確保するため、県民代表も含めた審査を実施すること

4.原発とエネルギー問題

 再稼動を容認した号機が起動中のトラブルで停止したり、異物の発見、油漏れ・水漏れなどが続いたりと、不正事件後のハード・ソフト両面のトラブルは相変わらず後を断ちません。県民の安全・安心の確保の面から、原発そのものと、事業者の体質との両面の老朽化は目をおおうばかりと指摘せざるをえません。
(1) 「第一世代に属する原発の廃止」は待ったなしといわなければなりません。欠陥が著しい福島第一原発の1、2、3、4、5号機については廃炉を求め、廃炉後の地域振興策を早急に構築すること
(2) 原発建設工事で使われたコンクリートの「アルカリ骨材反応」をめぐるデータ改ざんが明るみになりました。セメント中のアルカリ量が一定量を超えると膨張し、建造物を破壊する恐れがあります。原発本体と配管その他のトラブルと直結する基礎や建屋のコンクリートについて、県の責任で徹底検査をすること。
(3) 独立した原子力規制機関の設置は引き続き粘り強く求めること
(4) 政府が進める原発推進政策と核燃料サイクル政策の根本的見直しを求めること
(5) 原発に象徴される「大型・集中・単一」の電力供給のあり方を、地方分権時代とその内実にふさわしい「小型・分散・多様」な供給のあり方へ県が率先して進めること

5.福祉と医療の充実

 「誰もが、本人の意思を尊重し、本人の自己実現の意欲を尊重するということに気づくとともに、様々なサービスの提供にあたり現場の声に真摯に耳を傾けること」(「ふくしまユニバーサルデザイン推進指針」)は、福祉や医療など県民の健康な暮らしと命を守る県の仕事の指針ともいえます。「耳を傾けること」にとどめず、県として責任をもった推進策をとらなければなりません。
(1) 介護保険について、20歳からの保険料徴収、障がい者支援費制度との統合、要支援・要介護1など軽度者の給付の見直し、施設サービスのホテルコストの見直し、在宅の利用料負担を2〜3割にする、などは行なわないよう国へ強く働きかけること
(2) 介護保険料や利用料の減免制度など低所得者対策を県として主体的に拡充すること
(3) 介護支援専門員(ケアマネージャー)を増員し、一人ひとりの利用者の立場に立ち、ゆとりある調査によって支援計画が策定できるよう、国に対して報酬の引き上げを求めるとともに、県独自の支援策を強めること
(4) 障がい者への支援費事業は、自立生活に必要なすべてのサービスを認め、一方的な切り下げをすることのないよう市町村を支援すること
(5) 障がい者支援費制度におけるケアマネジメントの重要性にかんがみ、ケアマネージャーが仕事と生活の両立が図れるよう、財政面を含めた県の支援策を強めること
(6) 住民合意のない県立病院統廃合は行なわない姿勢を明確にすること。なによりも、県民の命と健康を守る県立病院の役割を「改革委員会」まかせにせず、県として明確に示すこと
(7) 准看護師が看護師の資格を取得するための通信制設置を県の責任で行なうこと

6.雇用・中小企業・農家支援策

(1) 新規高卒者・若年労働者、中高年の雇用につながる多様な職場実習・職業訓練の場を、民間企業の協力を得ることを含め、県として積極的に拡充すること
(2) 中小企業の仕事の確保、資金確保、販路拡大、新商品開発、従業員研修など総合的な支援策を強めること。特に、年末資金確保への対応に全力をあげること
(3) 福島産米の知名度を上げるためのピーアールを始め、県として販路拡大と販売戦略をもって農家を支援すること。小売用米袋(5キロ袋、10キロ袋)作成費用へ助成すること

7.イラクからの自衛隊撤退を求めること

 イラクでは、11月7日、自衛隊が駐留するサマワも含めて全土に非常事態宣言が発せられました。ファルージャでの米軍による大規模制圧作戦のために、テロを阻止するのがねらいです。文字通りイラクは、「戦争が憎しみを生み、憎しみがテロを生み、そしてテロが戦争を引き起こすという悪循環」(知事)が現出しています。
 戦争と占領の口実がうそだったことが明らかになり、非常事態下のイラクに「非戦闘地域」などありえないこともまた明らかです。
 「悲惨な戦争の教訓を次の世代に伝えながら、世界の恒久平和と繁栄のために貢献」することが「責務と認識」している知事の政治姿勢がきびしく問われます。いまこそ日本の憲法の平和主義を世界へ広めるときです。

 以 上



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