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12月定例議会に関する要望書
2005年11月9日

福島県知事
佐藤 栄佐久 様

日本共産党福島県議会議員団
団 長 神山 悦子
長谷部 淳

はじめに

 先に閉会した特別国会では、総選挙で多数の議席を得た小泉・自公政権が、数の力を背景にして国民の暮らしをこわし、平和をこわす暴走をはじめております。「郵政民営化は、国民の圧倒的多数に支持された」という首相の言い分は、“小選挙区制マジック”にもとづく虚構にすぎません。他方、議席を減らした民主党は、「改革競争」の名で暴走を競い合う姿勢を明らかにし、郵政法案をめぐっても郵貯・簡保つぶしのスピード強行に手を貸す態度をとりました。
 10月28日に発表された自民党の「新憲法草案」は、前文から侵略戦争への反省や平和的生存権を削除したうえ、憲法9条改変に焦点をあてていることが最大の特徴です。すなわち「戦力保持の禁止」と「交戦権の否定」を規定した9条2項を改変し、「自衛軍の保持」を明記しました。これは海外での武力行使はできないという「歯止め」をとりはらい、海外派兵を可能にし、イラク戦争のような戦争に参戦する道を開くものです。侵略戦争への反省を捨て、軍隊保持と海外派兵の道に「日本の基本」を変えることは、過去の歴史の教訓からも国民の自由、人権の抑圧につながるものです。
 10月31日に発足した第三次小泉改造内閣の顔ぶれをみても、“ポスト小泉”をめぐって、庶民大増税、憲法改悪など「改革」を競いあわせる布陣であり、靖国参拝が国策として固定されるのではないかという危惧をよびおこす布陣となっています。
 県内では、小泉政権による社会保障の連続改悪による負担増や増税路線によって、景気・雇用の悪化はさけられず、これに原油高騰が加わり、豊作とされた米の出荷調整も始まるなど、県民生活への影響が心配されます。制度融資をはじめとした県内の中小企業、農業、漁業などへの十分な手だてが必要となっており、そうした立場から、以下の実施を求めるものです。

1、アスベストと原油高騰対策について

1)アスベスト対策の市町村費用がかさみすすまないことから県も支援していくこと。学校施設については、市町村立を含め、すみやかに除去できるよう、県の支援を具体化すること。
2)原油価格高騰による県民生活への影響は、運輸業や農漁業をはじめ国民の営業を圧迫し、暮らしに広く影響を及ぼしてきている。県としては、関係機関への働きかけを行い、県民の支援策を講じること。
(1) 石油大手会社は、保有する在庫原油の評価益が発生し過去最高の利益を上げていると発表されているが、政府として石油元売各社へ働きかけ、その儲けの一部を国民に還元するよう国に求めること。
(2) 中小企業だけでなく農漁業者などへの影響実態調査を行うこと。また、それへの県の支援策を講じること。
(3) 低所得者や高齢者の冬場の暖房費支払いを軽減するために、県が直接補助を行うこと。

2、雇用の創出、確保について

 若年労働者を中心に広がっている不正規、不安定雇用を改善して、働きがいと生活設計をもてる雇用形態となるよう、企業への働きかけ、中小企業への支援を強めること。
 県内中小企業の正規雇用拡大に対する県の助成制度を創設すること。

3、農家への支援策について

(1) 福島県産米の知名度を上げるためのPRをはじめとして、県として販路拡大と販売戦略をもって農家への支援を強めること。
(2) 耕作放棄地の面積が全国一となっているが、深刻な事態を打開する抜本的な農業後継者支援策や、新規農業従事者への支援について、市町村への助成と合わせて県が直接支援する制度などの施策をとること。

4、福祉・教育の充実を

(1) 「障がい者自立支援法」の成立によって、障がい者年金だけでは暮らせない事態が生じるおそれが指摘されている。共同作業所への運営費補助を見直し、県の助成要件と金額の増額を行なうこと。
(2)  重度心身障がい者の入院食事代の自己負担の市町村への補助削減をやめ、元に戻すこと。
(3)  介護保険制度のサービスを後退させ、負担を重くすることがないよう、県として利用料への直接助成、及び利用料を軽減する事業者への支援を行うこと。
(4)  全県的に保育所待機児童の解消を図ることは急務である。ところが、今年の年度途中で国の採択が見送られ、要件変更などによって建設計画に支障をしかねない事態がおきている。県が上乗せ支援するなどして、父母の保育要求に応えられるようにすること。
 また、市町村の保育料軽減策を講じること。
(5)  生活バス路線の廃止は、学生や高齢者などの日常の足を奪うことになり、大きな影響がでてくる。引き続き路線維持に対する補助を行い、代替交通の確保などさまざまな支援策を講じること。

5、原発について

(1) 国と電気事業者の核燃料サイクル固執政策や原子力政策に対する県からの意見や県独自の安全点検などに対し、国が原発交付金削減をほのめかしていることは、県民の安全を求める当然の願いさえ圧殺しようとする強権的なやり方そのものである。県民の命と県土の安全を守るために、県としては引き続き社会的アピールを強めること。
(2) 東京電力福島原発でのあいつぐトラブルや事故・故障の多発は、老朽化を示すなにものでもなく、運転そのものが無理といわざるをえない。「廃炉」の方向を明確にするよう国に求めること。
(4) 今年8月16日に発生した宮城県沖地震では、東北電力の女川原発が、「設計用限界地震」の基準動を上回る揺れがあったことが確認された。
 また、福島原発では、津波対策においても引き潮時や高潮時に取水できなくなるおそれがあるなど、設計時点から地震や津波対策に決定的欠陥があることが次々に明るみになっている。抜本的な対策を直ちにとるよう求め、県の防災計画については、抜本的改善を図ること。

6、人事委員会勧告に基づく職員給与改定について

 県人事委員会の勧告は、ようやく上昇傾向を示し始めた民間賃金に逆行し、公務員の賃下げを4月にさかのぼって実施し、民間企業で失敗が相次いでいる能力実績主義にもとづく給与制度の導入をすすめるものである。
 今回の勧告にもとづいて実質引き下げとなる職員の給与の改定を行わないことを求める。

7、「福島県ピンクビラ等の規制に関する条例」(案)について

 12月定例県議会に提案される「福島県ピンクビラ等の規制に関する条例」(案)は、警察に裁量権を広く持たせ、掲示または頒布目的で所持、携行することを規制対象としている。これは予防拘禁にもつながる危険性を持つものであり、現行条例での取締りを徹底することで対処すべきである。

以上



日本共産党福島県議団
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