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2006年度予算編成に関する申し入れ(第一次)
2005年11月9日

福島県知事
佐藤栄佐久 様

日本共産党福島県議会議員団
団長 神山 悦子
長谷部 淳

はじめに

 米価をはじめ農産物の価格が暴落を続け、中小企業・商工業を中心とする地域経済の困難さは依然として深刻です。それが雇用の改善を遅らせている大きな原因でもあります。県民生活の大変さは「自死数」の止まらない増加に現れています。98年に前年の406人から570人へ急増したのに続き、03年には661人とさらに大台を記録しています。98年以降昨年までの7年で3,966人、磐梯町や山都町に匹敵する県民が自ら命を絶つという深刻な事態といわなければなりません。
 こうした県民生活と地域経済を全く省みることなく、小泉内閣は庶民増税を連続させるばかりか、介護保険、障がい者福祉、医療保険制度と次から次へと社会保障を後退させ、負担増と給付の削減を進めています。これが県民生活を一層困難にすることは明らかであり、地方自治体としての県政が、市町村とともに県民生活応援の立場を発揮することが一層求められています。
 来年度予算編成に当たって知事は、県民生活の実態を直視し、小泉政権の悪政からくらしと地域経済、地方自治を守る立場を基本姿勢として下記の基本的施策を具体化するよう求めるものです。

1、政府の「三位一体改革」による国の責任放棄と地方分権に逆行する地方財源いじめをやめさせ、地方財源の確保に全力を尽くし財政の健全化を図ること

(1) 義務教育費の国庫負担補助金は、憲法による県民の教育を受ける権利を国が保障する最低限の仕組みであり、地域格差を生じる国庫負担削減・廃止(税源移譲)には反対すべきである。
(2) 生活保護、児童扶養手当の国庫負担削減は憲法第25条の生存権に関わるナショナルミニマムの後退につながるもので、断じて許さない取組を展開すること。
(3) 「三位一体の改革」の大きな柱である地方交付税の削減も重大で、財源調整機能とともに地方団体の財源確保機能を後退させることのないようあらゆる運動に取り組み強く求めること。
(4) 空港の利活用への異常な肩入れとトラハイ事業、小名浜の人工島づくり、首都機能誘致など、不要不急の大規模事業が継続されている。見直し時点よりさらに財政事情は悪化しており、発想の転換と財政健全化を優先させる、さらなる見直しを行うこと。

2、教育環境の充実を図る県政を〜県立大学の法人化と県立高校の統廃合について

(1) 財政の削減を自己目的にする法人化であってはならない。県立大学の設置目的を時代の要請にマッチさせるための必要な整備や経費は十分に保障すること。
(2) 大学の自治、学問の自由を尊重することが大前提である。法人運営もその観点から民主的で開かれたものになるよう援助すること。
(3) 県立高校の安易な統廃合は行わないこと。学級規模の縮小校を拡大すること。
(4) 特色ある学校づくりの名のもとに特殊な高校への改変は慎重にすべきである。普通科を基本に総合的学習を大切にすること。また高校が地域の文化の面でも生涯学習の活動の面でもセンター的役割を果たせるよう小学区(地域の学校)での配置を重視すること。
(5) 小中校での基礎学力をどの子も身につけられるよう小人数学級の充実と複式学級の解消を図るなど教育条件を充実するプランを策定し、高校入学を希望する子どもの実質全員入学を政策目標とすること。
(6) 正規教員の定数を増やすとともに正規の教員と同様の役割を現に(しかも数年にわたって)果たしている常勤講師を教員採用では優先すること。

3、福祉を充実してあたたかい県政に〜介護、障がい者福祉の後退に歯止めを

(1) 県立福祉施設を指定管理者制度で民営化することにより、サービスの低下と従事者の労働条件悪化をきたさないようにすること。
(2) 05年10月より介護保険入所施設での自己負担増額により、負担できずに退所を余儀なくされる高齢者が出ないよう、県としての支援策をとること。
(3) 06 年4月から、軽度判定の高齢者も希望に応じ必要なサービスを引き続き利用できるよう支援すること。
(4) 低所得者の利用料等負担額の軽減策を、市町村、事業者とともに拡充できるよう県の独自制度を検討すること。保険料の申請減免への財政支援を行うこと。
(5) 障がい者の自立支援法によって、重度の障がい者ほど負担が重くなり、必要なサービスの利用ができなくなるおそれが出ている。自己負担、サービス総量の制限などで自立や社会参加の可能性をつぶすことのないよう、県としての支援策を取り組むこと。
(6) 施設の全県的整備とともに、地域での自立生活を望む障がい者への支援と、訓練機能を持つ事業者への事業委託等を積極的に行うこと。

4、県民の安全・安心を確保する県政を〜どこでも誰もが医療を受けられるように

(1) 県立病院の廃止が、その後の方針・計画が不明なまま進んでいることは重大である。公立、民間含め、全県的医療供給体制の将来設計を県民に示し、格差のない総合的医療供給体制確立の為に県の責務を果たすべきである。
(2) 救急医療をはじめ、慢性疾患、ガン治療、小児専門治療、周産期医療、高齢期医療などの充実計画を示すこと。
(3) 上記(1)(2)の供給体制作りにとって必要なスタッフの養成と確保について県としての責任ある計画を持ち系統的に取り組むこと。
(4) 当面、県内各地の病院勤務医の確保について、県が知事を本部長とする特別対策をとること。
(5) 国民健康保険と政府管掌健康保険を県単位に改変する動きは、国民皆保険の国の責任を後退させるものであり、反対を表明すること。国保の県交付金は収納率に対するペナルティ的性格にはせず、法定減額とあわせ、地方税法717条に基づく申請減免の活用に県の支援をおこなうこと。
(6) 高齢者医療保険の制度改定が企図されているが、年金からの保険料天引きや、自己負担の引き上げなど、医療を受ける権利を大幅に制限する内容であり、知事は反対を表明すること。

5、県土づくりの総合計画に関して

(1) 『商業まちづくり条例』を生かし、「コンパクトなまち」を住民参加でつくっていく理念を発展させること(福祉・医療・保険、子育て支援、地産地消、文化・学習、など)。
(2) 生活路線バスが重大な危機にさらされている。軌道交通やタクシーを含め、公共交通の多面的なあり方の検討を行うこと。またそうした観点から高速自動車専用中心の道路整備のあり方を見直すこと。
(3) 新『食料・農業・農村基本計画』は、農産物の輸入自由化を前提に、大多数の家族経営と集落営農を排除し、農村地域の崩壊、ひいては県土の荒廃をもたらす危険な内容になっている。この計画を前提にした「振興策」では、県勢進展は夢物語となってしまう。いまこそ生産と経営を下支えする本県独自の農林漁業振興策を確立し、第一次産業を切り口として他産業との連携をはかる、多面的複合的振興策を柱とすべきである。そのなかで県としての販売戦略を生産農家、流通業界とともに情報技術を駆使して構築することも重要である。勿論、地産地消を思い切って拡充するための横断的取組を強化することも必要である。総合基本計画では、こうした食料生産基地としての本県の特性を大切に伸ばしていくことを基本に据えること。

6、市町村合併について

(1) 知事は「合併しない市町村へも支援する」と表明してきたが、事務事業が分権の名で市町村に移管され膨大な量となっていることをふまえ、要望があれば人的、財政的支援を強化するとともに、県が代行する支援策も具体化すること。
(2) 合併によって市町村の財政状況が好転するものではなく、むしろ一体性確保の新たな投資や合併条件実施のため、特例債などにより一層の財政硬直化が進展する危険もある。
われわれが繰り返し指摘をしてきたように、財政悪化の大きな原因となった、バブル時の大規模事業についての「ツケ」への対応が必要である。大規模な農地や用水開発等の農業土木事業の負担(償還金)、過大な水量、高い水道料金を生んでいる広域上水道用水供給企業団事業、「塩漬け」として抱えている工場用地や住宅団地などの用地開発事業、国体施設はじめ大型のハコモノ建設など、その多くは国や県の「指導」「要請」によって取り組まれたものである。こうした施策への反省が必要不可欠といえる。
 県自身は「行革」と称してお荷物になりそうな事業や施設を市町村に押しつけているが、市町村の負担軽減のためにこそ県の責務を発揮すべきである。
(3) 以上の立場から、合併を押しつける「構想」は策定せず、市町村財政健全化計画に対する各種支援策を具体化すること。
(4) 合併した新市・町が、「地域自治区」等新たな手法を活用して住民参加によるまちづくりに取り組む際、希望に即して人的・財政的援助の仕組みを検討すること。

7、原発のあり方に対して

(1) 「水漏れ」をはじめトラブルが相次いでいる。念入りな点検、補修、検査を行い、国の安全確認を受けて知事が運転再開を認めてきた経過であるが、やはり<事業者と国の安全に関する体質は変わっていない>、<原発そのものの老朽化を直視する必要がある>という私達の主張が裏付けられていると言わざるを得ない。改めて安全確保に対して両者へ申し入れること。
(2) 大型地震や高潮対策への脆弱さとともに、老朽化は部品の取り替えでは追いつかないことを指摘し、廃炉計画を事業者の判断に委ねるのではなく、県民の安心・安全に責任を持つ県として具体化を強く求めること。

以 上



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