HOME BACK ご意見・ご要望をお寄せ下さい
TOPICS
議員団紹介
政策・提案・見解
県議会報告
県政の資料
議員かけある記

2006年度予算と主な施策についての申し入れ(第二次)
2006年1月23日

福島県知事
 佐藤 栄佐久 様

日本共産党福島県議会議員団
団 長 神山 悦子
長谷部 淳

2006年度予算と主な施策についての申し入れ(第二次)

【はじめに】

 昨年12月はじめから会津地方へ降り続いている記録的な大雪は、各市町村と住民に甚大な被害をもたらしており、1月には下郷町で保育所の屋根からの落雪によって、幼児が死亡する痛ましい事故も発生しました。県は、災害救助法を適用させ、財政支援をはじめ、あらゆる人的支援や機材の活用など、市町村を応援し県民の命と安全を確保するために、広域自治体の役割を十分発揮することが求められます。
 昨年107人の死者を出したJR西日本福知山線とJR東日本羽越線の列車脱線事故、マンション耐震偽造問題などに表れているように、規制緩和万能論と小泉内閣の「官から民へ」「小さな政府」の行きつく先は、国民・県民の命が脅かされ、安全・安心を大きく損なうものであることがはっきりしました。県が同様の手法をとっていくことは、県が掲げる「命・人権・人格の尊重」とは逆の結果をもたらすことになります。その立場から、独立行政法人化、民間委託、指定管理者制度の活用について、あらためて公的責任の担保をチェックする必要があります。
 さらに、青年をはじめとして不安定な非正規雇用の増大、介護・年金など社会保障の連続改悪は、県内で、昨年1年間に過去最多の669人の自殺者を生み出し、生活保護受給者は1万人超、国保税の滞納世帯は18%、7万世帯に増加し、高校授業料免除と教育扶助・就学援助を受ける児童・生徒を年々増加させています。こうした新たな貧困層を拡大するなどの「格差」社会を生み出しているのは、小泉政権が「構造改革」という名のもとで、大企業の利潤追求を最優先する「新自由主義」の考えに基づいた経済路線が原因です。 
 ところが、政府はさらに国民に痛みをおしつける3.3兆円もの庶民大増税を計画し、その第一歩として、今年と来年にかけて所得税・住民税の定率減税を全廃し、来年は消費税増税をもくろんでいます。一方、「小さな政府」の手法で、政府自ら作った借金を地方におしつけ、「三位一体改革」による地方交付税交付金などの削減をすすめていますが、とんでもないことです。
 県は、「いのち・人権・人格の尊重」と県民の「安全・安心」を守るため、「子育て支援」をはじめとした5つの重点施策と生活密着型の公共事業を優先する方針を示しましたが、県民生活と地域経済の実態をふまえ、真にくらし応援の施策中心に、以下の具体的施策の実施を要望します。
 なお、豪雪対策など、緊急対応が必要なものについては2月補正で対応し、すみやかに対処することを求めます。

【総務部】

(1) 県立大学の法人化や県立高校の統廃合、社会福祉施設の民間移譲、県立病院の統廃合などの3大切りすてに加え、今後300人以上もの定数削減をすすめるなど、職員削減ばかりを強調するのでなく、県民生活に密着した分野、特に医療・福祉・教育にかかわる職員については、増員することを明確にし、県自身による雇用創出を図ること。
(2) 「森林環境税」の使途については、林業振興に役立つ実効あるものとすること。
(3) 一般財源化されている河川流水占用料が、流域町村に適切に還元されていることがわかるような施策展開を図ること。
(4) 小名浜東港、首都機能移転誘致事業は中止、トラハイは凍結し、生活密着型の公共事業へ転換すると共に、全国からみて低水準にある子育てや高齢者、障がい者などへ優先的に財源をまわすこと。
(5) 落札率を引き下げ、財源の有効活用を図ること。

【企画調整部】

(1) 福島空港については、赤字経営を続け利用増のためとの名目で、県民負担を増やすだけとなっていることから、縮小・廃止へ向けた検討を始めること。
(2) 木質バイオマスの利用や風力・水力・太陽光など再生可能なエネルギーの導入を促進すること。
(3) 首都機能移転誘致事業への予算計上はしないこと。

(4) 水力発電地域がかかえている豪雪などの災害、過疎、高齢化などの課題に応えられるよう、河川流水占用料収入の半分を関係町村へ配分すること。

【生活環境部】

(1) 会津地方の豪雪に対する財政支援、機材や人的支援などに万全を期すこと。税制面での軽減措置をとるとともに、高齢者・母子世帯などへの健康チェックが行なえるよう、保健福祉事務所あげて支援すること。
(2) 豪雪地帯でも高齢者が生きていけるように、除雪、排雪、消雪、融雪、機材の確保など、新潟県のように県の「克雪計画」をもつこと。
(3) 地震・津波対策を迅速・確実に計画的にすすめること。特に、学校や公共施設の耐震化を急ぐこと。個人住宅の耐震化については、診断士派遣事業を行なう市町村を拡大し、耐震建築費用への助成制度も検討し、県民の安全と命を守ること。
(4) 原発立地県として、地震・津波発生を想定したハード面、ソフト面の対応策(通報体制を含む)を整えること。「高経年化対策」という名の老朽原発の酷使をやめさせ、廃炉計画を明確にさせること。
(5) 産業廃棄物の処分場建設に対しては、厳正に対処すること。新たな「産廃税」が、規制緩和につながらないようにすること。
(6) アスベスト使用の全面禁止、アスベストの早期除去と粉塵対策、被害者救済を行うこと。
(7) 「デマンドタクシー」などを含め、県民の生活の足の確保に努める市町村に対し、県の補助制度を拡充すること。
(8) 新しい観点を加え見直しされた「県男女共同参画プラン」を、県や市町村、民間事業所や、あらゆる分野に浸透させて、県内の女性の地位向上と男女平等を推進すること。

【保健福祉部】

(1) 豪雪などの災害時に住民の健康チェックを行なえるよう、保健福祉事務所あげて市町村を支援すること。保育所や老人施設、福祉施設の安全管理を徹底すること。
(2) 医師の自発的な県内定着を図るため、医師の研修内容の充実と労働環境の整備を具体的に進めること。
(3) 県民が日常的にかかりやすい範囲に必要な医療提供体制を整えるため、二次医療圏を県民に身近な規模に再編成し、既存病院との協力を密にしつつ、県立病院の整備を進めること。
(4) 介護保険制度が、必要な介護を保障できるよう、財政支援を含め市町村への実効ある支援策を県独自に行うこと。とくに、通所系サービス利用を控えることがないよう、実態把握をするとともに、利用しやすい制度のために必要な手立てを行うこと。
(5) 社会福祉法人が行う介護保険利用料軽減策を、事業者がより実施しやすくなるよう県の独自助成を行うこと。あわせて、社会福祉法人以外の事業者についても利用軽減策をとれるよう、県の独自助成を検討すること。
(6) 障がい者が地域で自ら希望する暮らし方ができるよう、在宅福祉サービス、居住する場、働く場、活動する場それぞれの確保策を、県の責任で明確にすること。県立社会福祉施設の安易な民間移譲をやめ、存続充実すること。
(7) 国保税について、年金受給者や高齢者の各種控除廃止に伴う引き上げを緩和するため、市町村と協力してその具体策をとること。県の国保財政調整交付金については、市町村の収納率によってカットするなどのペナルティを実施しないこと。
(8) 高すぎて国保税が支払えない事態を解消するため、市町村へ県独自の財政支援を行うこと。
(9) 保育所への運営費補助を拡充するとともに、子育て世代の保育料の軽減を図ること。
(10) 子育てプランを前倒しして、すべての小学校区に放課後児童クラブを整備するため、県の支援を強めること。
(11) 県の助成で、妊婦検診の無料化制度を拡充するとともに、妊婦外来医療費無料化制度を創設すること。また、出産費用の軽減策をすすめること。

【病院局】

(1) 医師が自発的に県内に定着できるよう、県立病院における研修・労働環境の整備、施設の整備の改善・充実を図ること。
(2) 県立病院の機能を強化し、がんセンター、循環器センター、県立子ども病院を建設すること。
(3) 会津統合病院に、透析患者の受け入れを整備すること。

【商工労働部】

(1) 雇用・労働環境をめぐっては、不安定雇用が常態化してきており、労働者の権利を守り、雇用の安定を図ること。特に若年者、中高年、障がい者の雇用に力を入れること。
(2) 今年10月から施行の「商業まちづくり推進条例」実施前の大型店の駆け込み出店については、現行法を駆使して規制すること。また、条例の主旨を生かす実効ある「基本方針」を策定すること。
(3) 県内の地場産業、伝統産業、ものづくりなどの情報をデータベース化し、これら県内産業を支える中小企業への支援策を強めること。
(4) 借りやすく使いやすい制度資金の充実を図ること。
(5) 自営業の女性の地位向上を図ること。

【農林水産部】

 政府は、農産物の価格維持政策を全廃し、一定規模(個別経営で4ha、集落営農で20ha)以上の農家以外の小規模農家を排除するような農業政策の大転換を図ろうとしています。農業を本県の基幹産業にふさわしい位置づけを行ない、農家経営の安定と消費者の安全・安心な国内農産物を求める願いに応えられるような農政をめざすこと。
(1) 大規模農家への支援だけでなく、兼業農家・家族経営農家も担い手の対象とし支援を強めること。
(2) 農林水産物の価格補償と所得保障を農業予算の主役にすえ、農家経営を支えること。
(3) 浪費型公共事業である大滝林道などの大規模林道の建設を中止すること。
(4) 農協系統と、系統以外についても実態を把握し、生産から流通・販売までを一元的に把握できるようにすること。
(5) 学校、病院、公的施設等で地元の食材を活用できるよう栄養士と連携し、地産地消の実効ある推進をはかること。地元産木材の活用促進のために財政支援すること。
(6) 農業総合センターは、農業の専門性を生かし、農業振興に役立つ機関とすること。

【土木部】

(1) 公共事業のコスト縮減のためにも、入札制度を改善し、談合などの不正を排除すること。
(2) 不良・不正工事がないよう、検査体制を強化すること。
(3) 大型公共事業を見直し、小名浜東港を中止し、トラハイは凍結すること。
(4) 通学路などの歩道や狭あいな部分改修など、生活道路となっている県道整備に予算を優先配分すること。
(5) 特に、中山間地域の生活道路は、狭あい・急カーブ・急勾配区間の解消、なだれ防止などの改良が急がれる。

【教育庁】

 義務教育費国庫負担制度は、地方自治体の財政力によって教育に格差を生じさせないよう、国が責任を持って行なうために必要な制度であることをあらためて指摘します。県は、教育基本法に基づき、全ての子どもが主権者として必要な基礎学力、体力、情操、市民道徳を身につけられるように豊かな教育条件を整えることを基本にすすめること。

(1) 小中学校の30人学級を、引き続き推進すること。学級増により教科担任が不足する中学校に対し、必要な増員を行なうこと。30人学級を高校へ拡大すること。
(2) 常勤・非常勤講師を減らし、正教員を増やすこと。定数内講師をなくすこと。
(3) 地域住民の防災拠点である学校の耐震化計画を市町村と協力して明確にし、耐震診断と改築・改修を急ぐこと。県として市町村へ助成すること。
(4) 中高一貫教育については、受験競争の激化や選抜競争の低年齢化に拍車をかけるようなものとならないよう、選抜を排してすべての子どもに高校教育を保障することを大前提とすること。
(5) 普通学校における特殊教育や障がい児教育を充実するために、専門教師を配置すること。
(6) 栄養士を増員し、学校給食に地元の食材を活用できるよう取り組みを強めること。
(7) 子どもの権利条約を生かした教育を推進すること。
(8) 学校内事故については、未然防止と事故発生時の迅速な対応、被害者の保護者の意見が十分反映できる事故報告書の改善など、事故予防と対応の改善を図ること。
(9) 自動体外式除細動機(AED)を各学校へ配備すること。

【警察本部】

(1) 手口が様ざまに拡大する振り込め詐欺被害を未然に防ぐよう対策を強めること。
(2) ITを悪用した犯罪の具体的防止策を講じること。
(3) 「捜査費」「捜査報償費」がここ数年の間に激減している理由を、その使途を含めて県民に示すこと。

以 上



日本共産党福島県議団
〒960-8670 福島県福島市杉妻町2番16号 TEL:024-521-7618/FAX:024-523-3256
jcpfskg@jcp-fukushima.gr.jp
Copyright(c)2004 fukushimakengidan All rights reserved.