「道路特定財源確保」に係る行き過ぎた広報活動の中止を求めることについて
福島県知事 佐藤雄平様
日本共産党福島県議会議員団
団 長 神山 悦子
副団長 宮川えみ子
幹事長 藤川 淑子
「道路特定財源確保」に係る行き過ぎた広報活動の中止を求めることについて
ガソリン税など巨額の税収を道路だけにつぎ込む「道路特定財源」と、本則税率を2倍に増税している「暫定税率」が3月末で期限を迎えることから、国会内外で議論が高まっています。
こうした動きを受けて、本県でも「道路特定財源」確保に向けたテレビ・ラジオ、新聞の1面広告への掲載まで行い、多額の県費をつぎ込んでのキャンペーンを繰り広げています。また、市町村に対しても有志団体の署名協力を依頼したり、広報活動のひな形を示して住民への周知徹底をすすめているようですが、道路特定財源については賛否両論がある問題であり中止すべきです。県民からも「税金を使っての広報はおかしい」との声があがっています。
また、本県が主張している内容についてですが、道路特定財源や暫定税率がなくなれば、いかにも県内の道路整備ができなくなってしまうかのようなキャンペーンをしていますが、道路特定財源は道路だけに使い切る計画であり、福祉や教育予算などの他の予算に10年間も1つの目的に使えるものはありません。したがって、こうしたキャンペーンは、県民に大きな誤解をあたえるものです。
県が主張しているような通学路や歩道、がけ崩れなどの生活道路整備をすすめることは、私たちも異論はありません。しかし、今後10年間の59兆円のうち、県民がもっとも切実に求めている通学路の整備やバリアフリー化、防災対策などを合計しても1割程度にしかすぎないのです。
福田内閣が示した道路中期計画では、1万4千kmの高速道路計画とは別に「地域高規格道路」を整備するとしています。12日の衆議院予算委員会では、これを補完するものとして186路線、約7千kmの「地域高規格道路」、合わせて2万1千kmを整備する計画であること。これに加え、6本の長大橋建設の計画を含む110の候補道路もあげられていることが明らかになりました。まさに、「総額先にありき」で「際限ない大型事業の自動装置」といえます。
これまでも、私たちは、道路特定財源をやめて一般財源化することを求めてきました。地方の道路投資の4割以上は一般財源が占めており、不要不急の道路建設をやめることは一般財源を住民本位に使うことにもつながります。県民の願いを大事にするのであれば、道路特定財源を一般財源化し、地方の裁量に任せるようにすべきです。
県はもう1つ、地方財政への影響を強調していますが、「暫定税率」の維持を求める声が出ている背景には、小泉内閣がすすめた「三位一体改革」による地方交付税の大幅削減です。全国知事会も「地方財政の危機的状況をもたらし、地域間の財政力格差を拡大させた最大の原因は地方交付税の削減である」と厳しく指摘していますが、自治体の財政基盤を再建するためには、地方交付税の財源保障・調整機能を強化することです。
以上の理由から、道路特定財源確保に係る行き過ぎた広報活動については、中止するよう求めるものです。
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