原油や穀物の急騰が、県民の暮らしと営業に大打撃を与えています。特に、生産コストに占める燃料代や飼料代などの割合が高い漁業、農業などが存亡の危機にさらされています。問題なのは、これら一連の高騰が、需給関係だけでなく、投機マネーによって増幅されていることです。
投機マネーによる価格押し上げは、漁民や農民などには何の責任もありません。不当に押しつけられた経営危機の問題は、政治の責任で解決するしかありません。県として政府に対し、国際的な協調の力で投機マネーを規制するための実効ある行動に踏み出すことや、投機マネーの規制で価格引き下げが実現するまでの間、漁業者、農業者などにたいする直接補てんの措置をとることで、ただちに責任をはたすよう強く申し入れること。同時に、県として漁業者と農業者への直接補てんの措置など、以下の項目を求めます。
一、漁業者・農業者への直接補てんを
1、漁業者への支援について
漁船用燃料の値上がりは、漁業経営を大きく圧迫し、このままの事態が続けば漁業が壊滅的な打撃をうけることは必至です。それは、日本の食料自給率をいっそう引き下げ、国民の健康にとっても漁村地域の経済にとってもきわめて重大な事態をまねくことは明らかです。漁船は現状でも生産コストの40%が燃料代といわれています。しかもセリ取引が主流のうえ、輸入圧力とあわせて買い手市場になっているため、コストの上昇を反映しにくいことが、漁業の経営を圧迫しています。今、やるべきことは、現実に操業している漁業者の経営を維持することです。
したがって、次の当面の緊急対策を求めます。
○ 国に対し、
- 漁業用燃油の急騰に対する直接補てん
- 漁業用A重油、船舶用軽油にたいする税の減免の継続
- 休漁にたいする補償の実施
- 現行予算を精査し、700億円近い漁港整備予算などのうち不急な工事費を漁業経営の維持をはかるための予算に組み替えを求めること
- 国交省管理の漁港の使用料を県並みに引き下げること
○ 県として、
- 漁業用燃油の急騰に対する直接補てん
- 休漁にたいする補償の実施、
2、農業者への支援について
原油と穀物の価格高騰、それと連動した燃油、飼料などの価格急騰は、農畜産農家の経営を存続不可能な危機に直面させています。また、肥料価格の高騰も農業経営に打撃を与えており、とくに、燃油への依存が高い施設園芸、輸入飼料に頼ってきた畜産をはじめ、効率優先の農政のもとで規模拡大してきた農家や生産組織ほど事態は深刻です。
しかも、農産物価格は、大スーパーなどの買い手市場と輸入圧力によって、生産コストの上昇が反映しにくく、直接農家・生産者の負担になっています。世界の食料情勢が激動し、輸入に依存できない事態が広がっているもとで、農業の危機を放置することは、世界最低水準の食料自給率をいっそう低下させ、県民の食生活や地域経済にも重大な影響を与えざるを得ません。
したがって、次の緊急措置をとるよう求めます。
○ 国に対し、
- 燃油への依存が高く、漁業と同様に価格転嫁が難しい施設園芸等については、燃油の価格高騰に対する直接補てんを行うこと
- 加工原料乳、肉用子牛、畑作物をはじめ国の助成金のある農畜産物については燃油や飼料価格、肥料のコストの上昇に見合った単価の引き上げを行うこと
- 飼料については、現行の飼料安定基金への支援を強化し、基金の赤字分を国の責任で補てんすること、現行の飼料安定基金が想定していない長期的な高騰に対応するための特別基金を国の責任で創設すること、当面の飼料増産対策として飼料米や秋まき大麦の増産対策と価格補てんを行うこと
- 米については、コストアップをカバーできるように不足払い制度の導入を真剣に検討すること
○ 県として、
- 燃油への依存が高く、漁業と同様に価格転嫁が難しい施設園芸等については、燃油の価格高騰に対する直接補てんを行うこと
- 当面の飼料増産対策として飼料米などの増産対策と価格補てんを行うこと
二、政府へ、投機マネーに対する実効ある規制措置を取るよう要請すること
- 投機マネーの代表格であるヘッジファンドに対して、直接の情報開示を求めるなどの規制強化に踏み出すこと
- 原油や穀物など、人類の生存の土台となる商品に対する投機の制限を設けること
- 過度の投機を抑制するために、短期的に移動を繰り返す投機マネーに適正な課税を行うことを本格的に検討するよう求めること