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2008年9月定例県議会に関する申し入れ

2008年9月5日

福島県知事
佐藤 雄平 様

日本共産党福島県議会議員団
団 長 神山  悦子
副団長 宮川 えみ子
幹事長 藤川  淑子

2008年9月定例県議会に関する申し入れ

はじめに

 9月1日、突然福田首相が辞任表明をおこないました。安倍前首相に続いて、無責任な政権投げ出しです。解散総選挙で国民の審判を仰ぐことは当然ですが、原油高騰対策や後期高齢者医療制度の課題、自衛隊派兵の恒久化につながるインド洋で海上自衛隊の給油活動を継続する新テロ特措法の延長問題など、国政の基本問題について、国民の前で徹底した議論を行い、争点を明確にしたうえで審判を仰ぐべきです。
 国際的な投機資金が野放しにされ、原油、穀物価格は異常な高騰をまねき、物価の全般的な値上がりとなって県民生活に重大な影響を及ぼしています。
 国内経済の動向ははっきりと後退の傾向を示し、第2四半期(4〜6月)の経済成長はマイナスに転じました。外需の“大黒柱”のアメリカ経済は底入れの見通しさえ立っていません。景気回復のためにも、経済の健全な発展のためにも、「外需頼み」を改め内需の回復を図ることが不可欠です。
 8月16日に発表された内閣府の「国民生活に関する世論調査」によると、日常生活に「悩みや不安を感じている」人は、70.8%で調査開始以来初めて7割を超え、不安の内容では「老後の生活設計」が6年連続トップで年金不信や高齢者医療制度の改悪、原油・物価高などによる将来不安の広がりを示しています。
 福田内閣は、地方や国民の批判に押されて医師不足対策や少子化対策、後期高齢者医療制度の運用改善など、一定の見直しの方針を打ち出しました。しかし、「骨太の方針2008」は、基本的には小泉内閣以来の「構造改革路線」を引きつぎ、社会保障費のさらなる抑制・削減とその財源に消費税の増税をすすめ、一方で法人税の減税と地方行革による民間開放と規制緩和、道州制導入、地方財政削減をおしつける方針です。
 政府・与党の経済対策の議論は、大企業・大資産家の応援や選挙目当てではあっても、国民の暮らしに寄り添う姿勢はかけらもないことを鮮明にしています。矛盾が噴出している「構造改革」にしがみついて右往左往する福田内閣と与党は、壊れたカジを握って漂流する泥舟のようなものです。
 燃油高騰への直接補てんなど生活と営業を守る緊急対策や投機の規制と同時に、家計を犠牲にして大企業・大資産家に奉仕する「構造改革」路線を根本から転換し、暮らしと家計に経済政策の軸足を移すことが強く求められます。
 県財政は、法人事業税等が当初の見込額を大きく下回り、地方交付税が当初予算計上額を下回る見通しとなっているなど、財源確保が困難となっています。構造改革路線、「三位一体改革」によって地方交付税を大幅削減し、財政調整能力を後退させたことが、地方の財政難の最大の原因であり、政府に対して削減分の回復を強く求めるべきです。
 8月8日、東京地裁で県政汚職の中心であった前知事への有罪判決が出されました。県政を私物化し、公共事業を食い物にした県民への裏切り行為は断じて許されるものではなく、有罪判決は当然です。
 9月定例県議会にあたっては、広がる貧困と格差の解消に力を尽くし、(1)大型プロジェクト見直しのいっそうの徹底、(2)地域での仕事確保をはかり、経済活性化にも資するようにすること、(3)県民の暮らしを守り、市町村の個性ある地域づくりにとりくめるよう市町村支援を強めることを基本に、以下の項目を要望します。

1、来年度予算編成について

 県政においては、原油価格の高騰で日本航空(JAL)の撤退が必至という事態になり、法人事業税等は100億円も下回る大幅な歳入減が見込まれる事態となっています。
 来年度の予算編成にあたっては、次期長期計画の策定も検討されていますが、激変の内外情勢をふまえ、県民の目線に立って不要不急の大規模事業の見直しに早急に着手し、その財源を県民のくらしに回すこと。医療・福祉・教育を本県予算の中心にすえるとともに、地球温暖化対策や食料生産県として県が積極的姿勢を予算編成で打ち出すことを求めます。

(1)不要不急の大規模事業の見直しを

  1. 小名浜東港は、火力発電所の燃料となる石炭貨物船の増加を理由にしていますが、県の温暖化戦略からみて逆行です。小名浜東港の建設を中止し県の財源確保を図ること。
  2. 福島空港は、利用客の伸び悩みによる減収と利用促進経費を含めて毎年5億円も赤字を出しています。日本航空の撤退は必至となっている今、空港の閉鎖を視野に検討すること。
  3. 県道整備は、6本の連携軸やあぶくま高原道路(トラハイ)優先をやめて、生活道路や通学路等の歩道整備を優先させること。
  4. 旧緑資源機構の幹線林道は、今年度から「山のみち地域づくり交付金」事業として県に移管されましたが、環境面や費用対効果からみて事業を中止すること。

(2)法人化された県立大学の中期目標見直しにあたって

 コスト優先でなく、大学本来の学問の自由や地道な基礎研究を保障するための支援を求めます。また、県立医大については、医師や看護師など医療スタッフを増やし、質の高い医療と地域貢献が果たせるような財政支援を行うこと。

2、医療の充実について

  1. 県立医大の定員増が具体化されますが、県内で不足している産科・小児科・麻酔科の医師を優先して養成すること。
  2. 県立病院改革については、地域医療の確立のため、医療供給体制を充実させることを基本にすすめること。
  3. 「大野病院事件」については、被告の医師の無罪確定を受け、医師に対する処分撤回をすること。県警においても、医療行為における捜査の在り方について内部検証を行い、県民の前に明らかにすること。

3、原油高騰対策について

 ガソリンや軽油の価格高騰が続いています。昨年7月の1バーレル70ドル前後だった原油価格は、今年1月以降1バーレル100ドルを突破し高騰が続いています。
県が7月に実施した、県内の石油製品(4品目)の価格調査では、すべての品目が前月より値上がりし、ガソリン、軽油、灯油は緊急調査開始以降の最高値を示しました。
 肥料や飼料および、資材価格等の高騰が農業・漁業・畜産業・林業をはじめ、広く県内産業に深刻な影響を及ぼしています。地域経済を担う各分野から「存亡の危機に瀕している」との声が出されています。
 原油高騰対策として、相談活動や融資枠拡大、技術指導などの対応に加え、価格上昇分に対する直接支援策の実施を求めます。

  1. 農業者支援策として、肥料価格の高騰に対する価格安定対策を、各JAおよび、農家に対して実施すること。
  2. 漁業者支援策として、漁船用のA重油の購入に対する補助を実施すること。
  3. 畜産業支援策として、飼料高騰対策の稲ホールクロップサイレージ推進策に加え、飼料価格上昇分に対する補助をすること。
  4. 福祉灯油については、生活保護世帯を除外することをやめ、豪雪地域に限るなどの制限を設けず県内全域を対象とすること。
  5. 介護・障害者施設への支援策として、施設が実施する送迎サービスにかかる燃油高騰分の補助などを実施すること。

4、くらし・福祉について

  1. 後期高齢者医療制度について、政府に廃止をもとめ、広域連合に県の独自支援を実施すること。
  2. 生活保護世帯の通院交通費を削減することなく、従来通りの支給を実施すること。
  3. 国民健康保険の都道府県単位による広域化に反対すること。
  4. 各福祉事務所と連携し、生活保護世帯の県営住宅家賃の振り替え徴収を実施すること。
  5. 妊婦健診の15回無料化を実施すること。
  6. 乳幼児医療費助成制度を中学卒業まで拡大すること。

5、教育行政について

 教員採用をめぐる「口利き」問題は、県民の不信感を高めています。関係者の処分はしたものの、全容解明は図られていません。
 今年度教育予算における各学校維持管理経費は、前年対比2割から4割の削減となっており、予算不足が深刻化し、一層の父母負担を招いています。原油高騰による物価高で家計が苦しくなっているなかの教育費負担増に県民からも批判の声が出されています。教育の質の向上と児童生徒の教育環境の改善に資する学校づくりには、財源の裏付けも必要です。

  1. よりよい教育実践を保障するため、出張旅費をはじめ学校維持管理費の増額をすること。
  2. 県立高等学校の統廃合については、関係者、地域住民の意見を尊重すること。
  3. 教員採用「口利き」問題での調査内容を県民に公表すること。

6、雇用対策について

 1999年の労働者派遣法改定で製造業にも派遣労働を規制緩和したことをきっかけに、県内に派遣労働者が増大しました。県内の工業団地に誘致している各工場においても同様の傾向が見られます。県が実施する中小企業相談やニート相談ダイヤル、労働委員会に寄せられる相談事例にも、職場のいじめや差別などトラブルや違法行為の実態が寄せられています。国における派遣労働者保護法の策定が急がれるとともに、県独自の対策も必要です。

  1. 国に日雇い派遣の禁止および登録型派遣の禁止など盛り込んだ、派遣労働者保護法の制定を求めること。
  2. 具体的な問題解決につながる、労働者ホットラインの設置をすること。
  3. 誘致企業における派遣労働の実態調査を実施すること。
  4. 新版の労働者ガイドブックを作成し普及すること。

7、農業問題について

 温暖化による気候変動、バイオエタノール、発展途上国の食糧需要増など世界的な食糧危機の進行などからも、食糧自給率の向上をはかることは第一義的課題となっています。

  1. 農業予算を、農業土木から価格保障・所得補償中心に切りかえること。
  2. 国に対し輸入米の中止を求め、生産者価格の引き上げ、少なくとも60キロ当たり1万7千円とするよう求めること。
  3. 原油高騰での輸入飼料高騰への支援、稲ホールクロップサイレージの拡大、飼料・肥料の自給率向上への支援を強めること。
  4. 学校への米飯給食拡大と米粉パンなど米の消費拡大に向けた支援を強めること。

8、地球温暖化対策の抜本的強化を

 福島県の温室効果ガスの排出量は、05年の調査結果によると1990年比で27.2%の増加となっており、日本全体の排出増加率の4.25倍という異常な数値を示しています。また、CO2排出量の90年比増加率は37.2%で全国47都道府県中トップという深刻な事態です。
 県は、排出量増の大きな要因として東北電力の二酸化炭素排出係数が大きく増加したことをあげていますが、その一方で、削減のための対策を尽くしてきたのかが問われる事態です。

  1. 県として、電力業界に火力発電所燃料の石炭から液化天然ガス(LNG)への本格的なエネルギー転換を求めること。
  2. 8割を占める公共部門、産業部門での削減のために、県として企業との間で削減目標について協定を結び、事業所ごとの削減目標を義務化し、排出量を明示すること。
  3. 再生可能エネルギー(自然エネルギー)の大胆な導入をはかるために、県として導入目標を持ち、初期投資への補助制度の確立と技術支援をはかり、電力の固定買取制度の確立を国に求めること。

9、原発問題について

 本県は、30年以上経過した老朽原発を10基中5基も抱えており、地震が頻発している中、県民の不安は増大しています。

  1. 維持基準導入については、従来の県の立場を堅持し反対すること。
  2. 定期検査の間隔を13か月から24ヵ月ごとに延長しないよう求めること。
  3. 原発賛成・反対のそれぞれの立場の地質・土木学者の提言や、新たな知見を率直にふまえた耐震対策のための検討会を立ち上げること。
  4. 東電に対して情報の公開など体質の改善を強く求めること。
  5. 老朽原発の廃止の検討を求めること。
  6. 原子力安全・保安院と推進機関の分離を求めること。
  7. 原発依存のエネルギー政策から転換し、再生可能な自然エネルギー導入が進むようその開発研究予算を確保すること。

10、警察署再編について

 県内の警察署再編の具体的構想(案)が明らかとなり、この再編により6つの警察署が分庁舎となる方向性が示されました。地元からは「効率優先はおかしい」「安全の地域格差を招く」との声も上がっており、拙速にすすめることなく地元市町村と住民の納得のうえですすめること。

11、消防広域化推進計画について

 国が消防組織法を改定し、県消防広域化推進計画が検討されています。消防組織法では、住民の生命・財産を守る消防については市町村が責任を負うことを原則にしていることから、計画推進にあたっては市町村の意見を尊重すること。

以 上



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