12月定例議会に関する要望書
福島県知事
佐藤 雄平 様
日本共産党福島県議会議員団
団 長 神山 悦子
副団長 宮川 えみ子
幹事長 藤川 淑子
はじめに
昨年の安倍首相につづいて、9月1日、福田首相は突然政権を投げだしました。それを受けて麻生内閣が発足し、その直後にアメリカ発の金融危機が全世界を覆い、国内の実体経済にも影響が深刻に出てきています。
大企業・大銀行は大もうけを維持するために、下請け単価たたきや貸し渋り、派遣や期間社員の雇用打ち切りなど、中小企業と雇用を調整弁としています。そういった身勝手な行動を放置すれば、不況のいっそうの深刻化は避けられません。
10月30日に麻生首相が発表した追加経済対策は、大資産家や大銀行応援が中心であり、家計には、1回限りの「給付金」支給、中小企業に信用保証拡大などを盛り込んだものの、「3年後に消費税の引き上げ」を明言しました。小泉内閣以降、自公連立政権は定率減税の廃止やお年寄りを狙い撃ちにした年金課税の強化などで、国民に5兆円を超える増税を押し付け、後期高齢者医療制度など社会保障の給付減・負担増と合わせて13兆円もの負担増を国民に押しつけてきました。
県財政は県税収入の大幅減で厳しさを増しており、財政難を理由にいっそうの切り込みが「聖域」なく実行されようとしています。これでは、県民サービスの質の低下と地域経済を冷え込ませることになりかねません。
子どもの貧困が大きく広がっていることなど指摘されていることから、「福祉灯油」などをはじめとしたセーフティネットのきめ細やかな拡充を図ることが重要です。
県は、国に対し地方への財源確保を強く要請するとともに、県自身がつくってきた借金のつけを県民、市町村、職員へ向けることのないよう、特に、以下の点をふまえるよう要望するものです。
1、原油高騰・金融危機対策について
(1)雇用・中小企業対策について
- 県民や中小零細企業の置かれている状況の実態を継続的に把握すること。企業、特に誘致企業に対しては、派遣も含め雇用の継続を求めること。下請けに対しての仕事確保を要請すること。
- 金融機関に対して、中小商工業者に対しての融資を狭めたり、貸しはがしをしないよう要請すること。
- 現在の福島県原油価格高騰対策推進本部を強化して対応すること。
(2)県民支援、セーフティーネットについて
- 子どものいる家庭の国民健康保険証取り上げ(資格証発行)の中止を市町村に求めること。
- 県営住宅の減免制度を実効あるものとすること。また、市町村の公営住宅に対しても減免制度の創設を求め、低所得者の居住確保をはかること。
- 県税・住民税・公共料金の滞納者には、徴収強化だけでなく、福祉的対応を充実させること。また、市町村にも求めること。
- 福祉灯油は、地区限定をしないこと。また、生活保護世帯にも該当させること。
2、教育費、特に教職員の旅費・需用費の確保について
- 12月補正で教員の生徒引率旅費を増額する方向は当然ですが、まだまだ不十分なものです。学校運営にかかる経費の十分な増額を図ること。
- 就学援助制度を保護者に徹底するよう市町村に求め、給食費・文房具代にも事欠く生徒に対して援助を強化すること。
3、指定管理者制度について
国の地方行政改革方針にもとづき、06年度から導入した指定管理者制度ですが、官製市場の開放などとして自治体のスリム化をすすめることは、行政としての役割を放棄するものです。県の施設は、もともと税金で建てた県民共同の財産です。特に、福祉施設や教育施設については、収益性を求めるものではないことから、導入時から指定管理者制度にはなじまないことを指摘してきました。
今回、少年自然の家を直営に戻すことは、業務の継続性、安定性、専門性の確保という面からみれば指定管理者制度がなじまなかったことを示しました。
これまで直営で運営してきた2つの救護施設「福島県からまつ荘」と「福島県喜多方しののめ荘」を民間に委譲することで、県直営の福祉施設はすべてなくなります。財政難を理由にした民間委譲は、県民福祉の公的役割の放棄につながることから再検討を求めます。
4、人事委員会勧告について
10月6日に出された県人事委員会勧告は、民間給与との較差を埋める内容となり、給与月額については、較差分0.18%の引き上げ改定と、期末・勤勉手当(ボーナス)0.02月分を引き下げる改定です。
給与月額については、2006年から、民間との比較対象企業規模を「100人以上」から「50人以上」規模に変更、その民間企業と比較しても較差が出ていることからみれば、引き上げ改定は当然です。
また、新たに医師の人材確保を図る観点から、医師の初任給調整手当てを09年4月から改定することが加わったことは、評価できるものです。
ただし、県職員の給与改定は、市町村職員をはじめ、公務員準拠の民間職員にも連動し、地域経済への影響が大きいことから、期末・勤勉手当(ボーナス)0.02月分を引き下げについては行わないこと。
5、国庫補助事業事務費等の不適正支出について
今年1月に実施された会計検査院の特別検査によって、土木部と農林水産部に関する国庫補助事業事務費(需用費、賃金、旅費)の不適正が指摘され、両部合わせて4,611件、3,300万円余にのぼる金額となることが明らかとなりました。
また、02〜06年度については、他県のような不正な裏金づくりはないとされました。今回の指摘を受けて、07年度分の国庫補助事業についても全庁調査を実施していますが、本県は93年に「30億円の県費不正支出事件」を起こしていることをふまえ、十分な調査を行ったうえで県民に公表すること。
6、警察署の再編問題について
警察署再編問題については、県民との意見交換を十分に重ね、結論を急がないこと。
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