緊急経済・雇用対策に関する申し入れ(第5次)
福島県知事
佐藤 雄平 様
日本共産党福島県委員会
委員長 最上 清治
同雇用対策本部
本部長 宮本しづえ
日本共産党福島県議会議員団
団 長 神山 悦子
副団長 宮川えみ子
幹事長 藤川 淑子
8月30日に投開票がおこなわれた衆議院選挙で、国民の暮らしや平和を壊してきた自民・公明政権が、国民のきびしい批判を受け、歴史的大敗を喫し自公政権は退場することになりました。自民党は、119議席へと公示前の勢力を3分の1に激減させ、公明党も31議席から21議席へ大きく後退しました。
わが党は、どんな問題でも自公政権と真正面から対決をつらぬき、今度の選挙では、「自公政権を退場させよう」と訴えつづけてきました。有権者・国民が下したこの審判を、日本の政治にとっての大きな前向きの一歩として歓迎するものです。
県内経済は、生産活動において「低水準ながらも足下で明るい動きが見られる」とされていますが、一方では、雇用の急速な悪化と個人消費の低迷が続くなど深刻な状況が続いています。
福島労働局が8月28日に発表した7月の県内の雇用失業情勢は、有効求人倍率が0.34倍と過去最低の水準であった前月と同率となり、依然として改善の兆しが見えません。今後、「会津地域で1,000人規模の雇用調整が計画されている」(福島民報8月29日付)などさらに深刻な事態が心配されます。また、新規高卒者への求人状況についても前年度比で半分以下に落ち込むなど、一段と深刻な状況となっています。
昨年11月以来、4次にわたって経済・雇用対策についての申し入れを行ってきました。この間の経済・雇用対策の実施状況と到達点を明らかにし、問題点を打開していくことが求められます。
こうした観点から、当面する課題について以下の点を申し入れます。
1、 県として次のことをとりくむこと
(1)高校生の就職対策について
- 求人が半減しているなど厳しい状況にある高校生の就職希望者への支援を抜本的に強化すること。
- 福祉・教育・医療・介護など、公務公共部門において高校生の雇用創出をはかること。
- 県として、資格・運転免許等の取得への補助、職業訓練の機会の保障など、高校生の就職支援のための施策の具体化を図ること。
- 就職できなかった場合、地元自治体、経営者団体とも連携し、緊急職業訓練で月10万円の支給を行なえる制度を創設すること。
(2)雇用対策について
- 富士通マイクロエレクトロニクス(FML)の「再配置」と称する強制配置転換、スパンション・ジャパンの人員整理は会津地域の雇用と経済に甚大な影響を及ぼすことから、この間再三にわたり計画の中止・撤回を求めるよう県に対しても申し入れ、党独自にもFMLに申し入れを行ってきましたが、計画推進の立場を変えていません。富士通の上半期の業績は改善しており、人員整理しなければならない合理性は認められません。周辺市町村とも連携して富士通に計画の撤回を求めること。
- 国が失業対策として実施する緊急人材育成就職支援事業の中心をなす雇用保険の失業給付受給資格のない人への職業訓練とその間の生活費支給事業には、9月8日現在で県内21人の申請にとどまっています。その主な原因は、職業訓練を実施する受け入れ先がないことにあります。県の訓練機関が受け皿となるよう条件の整備をはかること。
- 誘致企業等に対し、雇用の社会的責任を果たさせ、違法な非正規切りや強制配転、退職強要などのリストラをやめるよう強く働きかけること。
- 緊急雇用対策事業では、基金事業の円滑に実施すること。現業での就労機会の拡大を図ること。
- 「ワンストップ」で対応できる雇用と福祉の総合相談窓口を各地方振興局に設け、市町村での総合相談窓口の設置を促進するよう支援すること。
(3)千葉県野田市では、市が発注する公共工事や業務委託に従事する労働者の適正な賃金を確保することを目的として、自治体として全国初となる公契約条例案を9月定例市議会に提案しました。県としても「公契約条例」の制定をめざし、県が発注する公共工事や委託契約による低賃金の労働者を生まないルールをつくること。
(4)県が緊急経済対策として創設した「経営安定特別資金」については、貸し付け実態を調査し、速やかに適用されるよう金融機関・信用保証協会への指導を図り、貸し渋り、貸しはがしによる倒産などの事態をつくらないよう強く要請すること。
(5)県民の安全・安心や地域経済に波及効果が高い学校耐震化、住宅リフォームなど、生活・福祉型の公共事業を優先し、仕事と雇用を生み出すこと。
(6)セーフティネットの拡充と機敏な対応を
- 厚労省の本年1月の調査による本県のホームレス数は20人としていることについて実態を反映しておらず、対策も不十分と指摘し、実態の全面的な把握と本格的対策を要請してきました。現段階での到達と問題点を明らかにして本腰を入れて取り組むこと。3月18日付の厚労省「通達」を市町村の窓口まで徹底をはかり、現在40〜50日もかかっている生活保護申請の受理から適用までの期間を極力短縮すること。
- 県営住宅への入居について、国が雇用促進住宅への入居期限の6ヶ月を超えても職が見つからない場合には、入居延長を認めたことと同様に、県営住宅においても入居期限の延長を図ること。入居者の要望をよく聞き対応すること。
- 生活福祉資金貸付の窓口実務にあたる社協への指導を強化し、貸付対象の拡大など必要な人が受けられるよう制度の周知徹底を図り、配慮するとともに事務を迅速化し一ヶ月以内にお金がおりるようにすること。
- 修学資金は、県として返済する必要のない制度となるよう独自の制度を創設すること。
- 教育支援資金の就学支度費融資を入学手続きに間に合うよう迅速に行うなど運営を改善し、人権侵害などないようにすること。
- 失業者に対する生活援助や住宅提供については、市町村と連携してきめこまかに行うこと。
- 経済的理由で進学をあきらめることがないよう、幅広く活用できる給付制の奨学金制度を創設すること。
2、国に対して求めること
(1)労働者派遣法の抜本的な改正を国に求めること。
(2)国として高校生の求人確保を強力に推進するよう求めること。
(3)ワーキングプア「働く貧困層」をなくすため、全国一律の最低賃金を時給1,000円以上に引き上げるよう求めること。
(4)緊急雇用対策事業の基金事業の円滑な実施を求めること。
(5)国として高校授業料の無償化の実施を求めること。
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