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2011年9月6日

福島県知事
 佐藤 雄平 様

日本共産党福島県議会議員団
団 長 神山 悦子
副団長 宮川えみ子
幹事長 藤川 淑子

2011年9月定例県議会に関する申し入れ

 東日本大震災・原発事故から、間もなく半年が過ぎようとしています。原発事故の収束は先が見えず、大量かつ広範囲に放出された放射性物質に対する県民の不安が広がっています。放射能汚染の実態を正確に把握し、リスクを県民に明らかにし、大規模除染と全県民の健康調査実施で安心して住み続けられる福島県を築くことが当面の最大の課題です。
 同時に、原子力災害の賠償においては、「中間指針」がまとめられましたが、本県の損害実態に見合ったものとはいえず、国、東電に対して迅速で充分な賠償を強く求めなければなりません。
 さらに、大震災と原発事故の未曽有の被害に加え、7月発生した新潟・福島豪雨被害は南会津地域に甚大な被害を及ぼし、災害復旧が緊急課題となっています。
 本県において災害復旧・復興および放射能対策と原発損害賠償が緊急かつ重大な課題となっているときに、民主党の代表選挙では、「この国をどうしていくのか」の政策論戦がなされることもなく、与野党の大連立や災害復興財源と称して消費税増税を述べ、政権交代で掲げた公約と矛盾する代表選挙がおこなわれました。就任した野田新首相は、原発の再稼働を推進し、本県の復興ビジョンで掲げる「原発に依存しない社会づくり」と相反する政治をすすめようとしています。
 今、県民が求めているのは、震災や水害からの復興と原発災害からの復興であり、それを具体化するための原子力災害に特化した特別法の制定です。県においては、新内閣に対し、原発賠償においても、除染や地域再生においても全面的に東電と国の責任のもとで解決を図る特別法の制定を強く求めるとともに、一人一人の県民が先行きに希望を持って生きていける福島県にするため、現時点で考えられるあらゆる施策の展開をすすめることが重要です。この観点に立ち、次の具体的施策を要望いたします。

一、原発に依存しない社会づくりにむけて

 「復興ビジョン」における原発に依存しない社会づくりの基本理念のもと、県復興計画の策定がすすめられています。復興計画は一人一人の県民の暮らしの復興を基本とし、緊急的な被災者支援に心を砕き、地域の再生をめざし、市町村の意見を充分反映したものとすることを求めます。

  1. 国の責任において原発事故収束をすすめることを引き続き強く求めること。
  2. 県の原発行政の到達点である「中間とりまとめ」の立場に立ち、核燃料サイクルからの撤退を国に求めるとともに、県自身も原発だのみのエネルギー政策からの転換を図ること。
  3. 福島第一原発と第二原発の全10基の廃炉を明確にすること。
  4. 県総合計画に「脱原発」理念を盛り込み、県内再生可能自然エネルギーの開発促進、低エネルギー社会への移行をすすめ、小水力や循環型エネルギーに取り組み、地元中小企業との連携で雇用の充実につなげること。
  5. 放射線の健康への影響や、農林水産物への影響についての研究をすすめること。将来的な県民の健康および放射能の影響が少ない農水産物の研究と生産を新産業に発展させる展望を持つこと。
  6. 原発に依存しない県づくりを展望する上で、原子力災害による被災地域の再生に関する財源を保障した特別法の制定を国に求めること。

二、原発災害損害賠償について

 損害賠償の「中間指針」が示され、東電の賠償基準が明らかになりましたが、原発事故がなかったら、あったであろう収入の差を全て賠償するという基本から程遠いもので、被害者である県民に立証責任を負わせる理不尽なものです。
 精神的損害が入っていないことや手続きが煩雑なこと、出荷制限や風評被害の算定に実態が反映されていないこと、原発事故による廃業や失業という間接被害対応も不充分です。引き続き国と東電に対し全面賠償を強く求めます。

  1. 東電の賠償基準に対して、住民間の分断をまねかないよう、区域外住民に対するあらゆる損害を賠償することを求めること。
  2. 現行法を超える未曽有の原子力災害賠償に対応する特別法の制定を、引き続き国に強く求めること。同時に全面賠償を求める立場から、特別法について積極的かつ具体的な内容を検討して国に要望すること。
  3. 原子力損害賠償担当課のスタッフを拡充し、県民の賠償請求にきめ細やかなサポート体制をとること。

三、放射能対策について

 放射能汚染から県民を守る施策を一刻も早く前進させることは、避難した多くの子どもや若い人を福島県に戻し、真の復興を実現させるための要です。そのためには、国がすべての責任を負い費用も負担し、県と住民が協力し合って進めることです。

  1. きめ細かなモニタリングを行い全県の除染計画を作り実施すること。その際数値にかかわらず、学校(高校も含む)・保育所・幼稚園・学童保育・通学路・公園など子どもたちのまわりでの除染を早急に行うこと。除染は、地域任せにせず県や市町村が前面に立ち費用負担は全て国に求めること。
  2. 除染で生じる放射性廃棄物(汚泥・がれき・土壌・農水産物など)の中間貯蔵施設と施後の線量については、国の責任で指針を早急に示すとともに、かかる費用負担についても国が全面的に保障することを強く求めること。最終処分場については国の責任で行うことを強く求めること。
  3. きめ細かな長期的健康管理体制を確立すること。特に子どもたちの健康管理には特段の対策を行うこと。18歳未満の子どもたちの医療費を無料にすること。
  4. 食の安全と生産者を守るために検査体制を早急に整えること。そのために国に放射能検査機器の緊急輸入、民間や研究機関の検査機器の借り上げなど当面の体制強化をもとめ、抜本的検査体制を整える計画を示し実現すること。特に学校給食の検査体制は早急に実施すること。
  5. 土壌改良の対策と研究、森林対策の研究と促進、採れた魚類を即検査できる体制の強化、また、世界の英知を結集した放射能研究機関の誘致を強力に働きかけること。

四、復興への希望が持てる施策実施について

 一人ひとりの被災者が復興への希望が持てるような支援策、地元中小商工業の産業基盤の回復、雇用の創出をはかること。

  1. 仮設・避難者住宅等入居者への被災者支援を継続すること。
  2. 原発立地地域での早期帰還困難者、津波や地震で家を失った方々など長期的住宅確保が必要であり、公営住宅の建設計画を作り実施すること。
  3. 被災した中小商工業者への「工場・店舗等再生支援事業補助金制度」の二次募集を早急に行うこと。
  4. 中小企業や個人の二重ローン対策が具体的に進むよう支援をすること。
  5. 会津の豪雨対策では雪の降る前に主要道路を確保しライフラインを確保すること。
  6. 原発・地震津波対策では、教育施設整備は一般的なルールにとらわれずに早急に整備すること。

以 上



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