被災者支援のさらなる充実と継続を求める申し入れ
昨年の大震災と原発事故から1年5カ月になろうとしています。今なお避難生活を余儀なくされている県民は16万人に上り、そのうち県外避難者数は6万2千人にも上っています。放射能の不安は和らぐどころか、除染が進まない下で、これから避難を希望する県民が後を絶たない深刻な状況が続いています。野田内閣は、福島原発事故の収束宣言を行い、被災者支援も早期に打ち切りたいという態度がありありと見えていることは、被災県民として許せません。
被災した県民が、一日も早く元の暮らしと生業を復活させることなしに、福島県の復興はありません。そのためにも、県として国と東電に事故の原因者としてあらゆる責任を果たさせる必要があります。
被災者の要求に基づき、以下の点について申し入れいたします。
- 被災者支援打ち切りの根拠となっている「収束宣言」の撤回を国に強く求めること
- 東電が一部公開した事故対応のテレビ会議映像について、全体を公開するよう東京電力に求めること
- 地震対策を引き続き実態に応じて継続すること
一部損壊住宅への支援を国に求めるとともに、当面の手立てとして県独自の支援策を講じること。また住宅応急修理事業について、事業の受付再開を国に求めるとともに被害認定の進捗との関係で申請締め切りに間に合わない事例のある自治体については、少なくとも県で救済措置を講じること。
- 小中学校教室へのエアコン設置の緊急補助事業を再開すること
- 県震災等緊急雇用対応事業の継続を国に求めること
今年度で県震災等緊急雇用対応事業が終了とされていますが、避難者をはじめとする県民の深刻な雇用不安は改善の兆しが見えていません。加えて、緊急雇用交付金事業がなくなれば、事業を利用する多くの労働者が失業することが懸念されることから、事業の継続を強く国に求めること。
- 全ての被災者に対する、国保、介護保険、後期高齢者医療の一部負担金、保険税、保険料の減免措置を継続すること
国は、国保、介護、後期高齢者医療の利用者の一部負担金、及び保険料、保険税の減免措置を、原発事故避難指定地域を除き、今年の9月末で終了する方針を示しました。しかし、原発事故避難指定地区に限らず、地震、津波による被災者の暮らしと生業の再建は、まだまだ緒に就いたとすら言えないのが現状であり、各種支援を必要とする状況は何ら変わっていません。
宮城県は、この現状を踏まえて、市町村が独自に減免措置を延長する場合の、財政負担を県が肩代わりする方針を明らかにしました。しかし本来は、国が支援を継続して行うべきものです。
よって、県として国に減免制度実施継続のための必要な財政支援を行うよう求めるとともに、当面は県として市町村に財政支援を行って、被災者支援を継続できるようにすること。
- 医療機関および高齢者施設などの施設基準等の緩和措置を9月以降も継続するよう国に求めること
震災・原発事故被災者への対応として昨年9月より入院基本料の施設基準緩和措置などが講じられていますが、被災者の困難な状況は現在も基本的には変わっておらず、医療・介護提供側の人員確保等の困難も引き続き深刻です。福島県病院協会なども求めている平均入院患者数、看護要員数、月平均夜勤時間数、平均在院日数などの現行緩和措置を9月以降も継続するよう国に求めること。
- 自力で県内に避難している自主避難者の状況把握を急ぎ、災害救助法の運用対象として支援すること
原発事故や放射線被曝への不安から相対的に線量の低い県内地域へと自主避難を行っている方たちが一定数存在し、この間、県にも支援の要望を行うなどしています。全ての県民が被災者であり、未曾有の原発事故災害のもとで県民のどのような選択も保障するという立場で支援することが県にも求められています。福島県全域が災害救助法の対象地域に指定されたにも関わらず、自力避難する先を県内にしたために支援が受けられないという不正常な状態をこれ以上放置しないこと。
- 原子力災害に起因する全ての被害を賠償すること
この間財物賠償の指針が示され、東電の試算も公開されました。しかし、失った財産の再取得には程遠いものにとどまり、被災者からも不満の声が上がっています。原発事故が起こらなければ発生しなかったであろう被害はことごとく補償するという立場で再取得価格を補償されることが必要です。また生活と生業の再建にしっかりとつながるものに拡充することを国・東電に求めるよう強く要望します。
また警戒区域の見直しも含めて、避難区域であるか否か、避難をしたか否かなどで賠償に差をつけ、県民に新たな分断を持ち込むことのないよう、国に求めること。
- 福島県が支給する県南地区と会津地方の県民に対する給付金について、県内に住民票がなくても、県内に生活し事故に被災した人たちにも漏れなく適正に支給すること
県の給付金の申請が始まる中で、給付金の支給対象から外れる住民が生まれていることが明らかになりました。住民票は県内にはないが、原発事故当時から、県内で生活していたことが明らかなのに、県が求める居住証明がないことを理由に給付対象とされない事例が起きています。全ての証明が揃わなければ給付対象としない立場を改め、県内に生活し被災した者全てを支給対象とすること。
- 保育所の給食食材の放射線検査について、恒久的な財源措置を行うこと
今年度から開始される保育所の給食食材の放射能検査について、来年度以降の財政措置は不明との県の説明がなされているため、市町村や保育所に戸惑う声が上がっています。
チェルノブイリの経験でも明らかなように給食の放射能検査は、単年度で終了できる事業ではなく、今後長期にわたる取り組みが求められる事業です。実施機関が安心してこの事業に取り組めるよう、恒久的な財源措置を講じること。
|